昨今、常に何かしらの不安を抱えている方が増えているようです。
その不安が激しく行動や言動に表れるなら、不安症などの治療が必要になることもあるでしょう。
しかし、実際には、朝目覚めたときや就寝前、ふとした瞬間に不安を感じたり、いつも軽度の不安を抱え、消極的な生き方をしている自分をさらに不安に思う、といった状況の方も多いようです。
長年、具体的な事柄について不安を抱え続けることが普通になっている、あるいは不安に対して半ば開き直り、日々の忙しさのなかでやり過ごしているという声も聞こえてきます。
また、不安を誰かに伝えること自体が不安で、堂々巡りになってしまうこともあります。
今回は、不安とつながりやすい状態についてご紹介したいと思います。
実際のケースを少しアレンジし、エッセンスをお伝えさせていただきます。
突然の事故に遭ったWさんは、家族や知り合いに連絡する間もなく病院に運ばれ、しばらく入院生活を余儀なくされました。
その際、「自分はひとりなんだ」と強い不安を感じたそうです。
ただ、現代では同様の状況にある人も少なくなく、病院のサービスや周囲の助けによって、実質的な問題はなかったといいます。
Wさんの主訴は別のことでしたが、この不安について、あえてヒプノセラピーで内観していただくことにしました。
リーディングやアクティベーションは一時的な課題クリアには有効でも、ご自身の状態を丁寧に理解・観察するプロセスが省かれがちだからです。
まず、不安のない状態についてお尋ねしました。
Wさん「家族がいて、周りに人がいること。でもそれは実際の家族というより、世間一般が言うような『温かい家族』がいるイメージです。寂しいと感じるときもありますし、孤独だなと思うことはありますが、物理的に孤立しているわけではありません」
ヒプノ誘導のなかで、いくつかイメージが浮かび、Wさんのハート付近に「秘密」を抱えているような感覚がありました。
人に話したら大したことない内容で、特に明かす必要もないのですが、Wさん自身の価値観やルールにより、「人に知られたくない」「知られることで一定のイメージを持たれるのが嫌だ」という感覚があるようです。
その理由はご本人もはっきりと自覚していませんが、実際に知られて困るほどの秘密でもありません。
なぜか秘密にしている(深く掘り下げれば関連エピソードが見つかるでしょう)ことで、Wさんの心は内向的かつ孤独な状態にあり、そのため生活や社会活動、将来のビジョンを常に不安な気持ち越しに眺めていらっしゃるのかもしれません。
秘密の構造として、「こう思われたくない」「こう解釈されるだろう」という内なるジャッジが、感情の起伏や、ときにはパニックにつながる可能性があります。
そこに他のストレスが重なると、他者の言動に過剰反応して不安が増幅することもあるでしょう。
このような秘密めいた状態は、気軽でフランクな交流の機会を阻み、コミュニケーション不足が内観のバランスを取りづらくしている可能性があります。
俯瞰してみれば、突然の事故体験は、Wさん自身の内なるメカニズムを揺さぶる契機となったのかもしれません。
事故自体はストレスですが、その前から続くアンバランスな状態であった当たり前の生活を止め、見直しを促したとも考えられます。
Wさん「自分で何もできず不便でしたが、周りの助けに本当に感謝する気持ちが湧いてきました。じっとしている間、時間や周囲に対する感覚も変わったと思います」
秘密を持つことで孤独を感じ、共有の機会が減ると、独力で抱え込む閉塞感が強まることがあります。
何を他者と共有するかは自由ですが、風通しが悪いと秘密はますます心の負担となります。
物理的に誰の耳にも入らず目撃されなければ秘密は守られるわけですが、エネルギーワークや量子レベルでの交流を始めると、そのような不自然な秘密を維持することは難しくなってきます。
「オープンハート」という姿勢は、自分自身の愛のエネルギー(生命力や健やかさにつながるもの)に意識を向け、不安や孤独、秘密に関わる問題をクリアにしていく効果があります。
フラワーオブライフやハートチャクラ関連のエネルギーを通りやすくして、今回のセッションをまとめました。
ちなみに、自分の目標などに集中するための「内密さ」は、その目的達成のためにエネルギーが注がれる状態です。
これが長期化すると負荷や閉塞感は増しますが、それは個人の感情や人生観に起因する不自然な孤独とは別物です。
各々の不安、秘密、孤独などのニュアンスには違いはありますが、部分的でもご参考になれば幸いです。