傲慢(ごうまん)さとは、思い上がり、人を見下すような言動、「調子づいて人を馬鹿にしたり、人を見くびって礼儀を欠くこと」という意味です。対人関係において、傲慢な相手の態度に気づくと不愉快に感じるものでしょう。比較的、表にバレやすい態度のひとつのように感じます。
皮肉なもので、とかく年齢や経験を重ねるごとに、傲慢さを養ってしまう人たちは少なくありません。他人の傲慢さは、その人から離れるなどすれば回避できます。しかし、家庭内や身内、利害関係のある仕事関係の場合は、どう諌めたらいいのか、我慢するのか、悶々とするところでしょう。
Yさん「つい最近夫と大喧嘩して・・・前から気になっているんですが、上から目線で見下したように、傲慢でいばったようなことを言うんですよ。でも、外面がよく、よその人や子供の先生などからは評判がよくて・・・なんなの!?って思うんです。私のことを馬鹿にしてるんでしょうか?!」
と、募る苛立ちをお話してくださいました。
傲慢な態度を広く全般的に表す人もいれば、特定の人・対象、身近な人にだけ表す人もいます。
今どきでいう、マウンティングに似ていますが、マウンティングは子供や若い世代、女性にも多いもので、優位性を示す態度ですから、本質的な目的が少々異なります。
傲慢さは心理、意識に起因し、マウンティングは動物的行動の優位性(交尾など)に起因する傾向にあります。
傲慢さは、対人関係に限らず、実は精神世界・スピリチュアル・自己啓発などの意識の高い系の領域において、あらわれやすい態度のひとつです。
傲慢な状態にある当人は、自分の傲慢さに気づいていないことが殆どです。
精神世界や意識を高めること(霊的に向上する、高い意識とつながる)や、宗教問わず神様のような存在とともに救いや導きに従く人々、グル(教祖)の中にも傲慢さが潜んでいることは珍しくありません。
その人物のわずかな闇のようなものに、状況やさまざまな条件が傲慢さを作り上げていきます。
傲慢な人の態度に当たると、その傲慢さをヒーリング(癒す)どころか、諌めたり、ぎゃふんと言わせてやりたくなるほうが妥当かもしれません。
傲慢な人に対しては、その相手の仕組みを把握しておくと、相手のヒーリングするテーマがわかったり、あなたが関与する役割がある場合には、相手の傲慢さを諫めるコツがわかるでしょう。
傲慢な人、傲慢さを抱いている人の特徴
・なんらかの力で武装している
純粋に自分の存在そのものではなく、何か価値や力の象徴となるものを装備しているため、自分は上の立場であるとか、偉いと認識しています。
よくある価値や力は、地位、財産(お金)、権威、名声、評価 などなどです。
これらの価値や力を象徴するものが自分である、と位置付けています。自分の存在そのものではなく、です。
この違いをよくわかっていない可能性が高いです。あるいは、知っているはずが、いつの間にか放念しているのかもしれません。
・人知れず我慢、忍耐している
周りに公言したり、相手にわかってもらうことはあまり求めず、自身は人知れず努力をして頑張ってきたからこその、偉そうで、上から見下ろすような立ち位置にいるのが自然になっています。
最初のうちは、よかれという思いで耐えていた部分が、だんだん他人と共有しない思いになります。経緯を知らない相手からすれば、ただ偉そうにした態度が鼻につくでしょう。
・緊張感、力み、ストレスなどが強い
自覚のないレベルの緊張感やストレスを抱えている人が多いようです。
ある想定した体面を保つための力みかもしれませんし、常に何かに対してストレスを感じやすいようです。
たまにはリラックスしたり、ハメを外すにしても、それが極端になってしまう傾向もあります。ふだんの傲慢さを知っている人たちからすると、常識ハズレに感じられます。
・真の愛情、愛を求めている?
「愛を求めているのに、愛を拒んでしまう」という説があります。愛については、傲慢さに限らず、心に未解決な課題を抱えている人に多くみられることです。多くの人が、何かしらの愛の課題はありますので・・・
傲慢さに関しては、比較的に子供の頃、親や家族に対してしっかりした者でなくてはいけなかった、という経緯があり、甘えることを含めて、愛情をもって接する機会少なかった可能性があります。
・期待に応えること
傲慢さの土台になる価値や力を証明するには、周囲への期待に応えることです。期待に応えることが肯定的に作用する反面、その期待(実際には漠然とした既存の期待)に応じ続けるうちに、いつの間にか自分のことを見失っていきます。
傲慢の本質は、他ならぬ、自分の存在そのものに対して向けられています。
自分だけで価値や力を成したわけでもないし、自分そのものの生存価値をほぼ完全に見失っている(何かの価値や力がなければ、意味がないという)ところにあるようです。
他者に対する傲慢な態度などは表層的なものです。傲慢な態度の人に遭遇すると、違和感を感じたり不愉快さを感じるのは、生存する者すべてが備えている存在の意義に抵触するからかもしれません。
傲慢な人と対峙したら
Yさんのように、家族内で傲慢な態度にあった場合には、放置しておくわけにはいきませんね!パートナー、親、子供たちなのか、によっても多少関わりが違いますが、いくつか方法をご紹介したいと思います。部分的に参考になる点があるかもしれません。
なお、家族や身近な関係の中には、投影(鏡の法則)が起こりやすいものです。傲慢さに反応したご自身のほうにも鍵があります。鍵と鍵穴の関係のように、どちらかに絶対的な正しさや勝ちはありません。
傲慢さを発揮している人そのものは否定しないように努めると、うまく運ぶようです。相手に正しさや勝ち負けを向けてしまえば、こちらも別の傲慢さに乗っかってしまいますから。
・ハッキリ相手の傲慢さを指摘する
ハッキリ、正直に言うことは、相手への信頼、愛情でもあります。それができる関係は限られてもいるでしょう。
感情的に、多少は喧嘩口調になっても、本心を伝えることは愛があってこそです。それに対して相手がどう応えるのかは、少し時間やゆとりを持つ必要はあるかもしれませんが。
かたや、他人は気づいていても言ってくれないのが常です。
・傲慢さの陰のストレスや我慢に気づく
傲慢な人は、常々、何かに我慢したりストレスを感じているものです。勝手にご本人が我慢やストレスを抱えている、とも言えます。ただ、身近な家族などの場合には、あなたや家族に対して我慢しているようなことがあるかもしれません。それを察してくれているだろう、とも期待しているでしょう。
また、あなたのほうも、傲慢な態度の人に対して察してほしい思いがあるでしょう。傲慢な態度が現れていないときに、お互いを理解するコミュニケーションのきっかけがもてるとベターです。
・関わりの世界を変える
傲慢な人、傲慢さを抱くときは、いわゆる世間知らずでもあります。自分の知らない世界が広がっていることを忘れがちです。知っていると思い込んでいる節もありますし、関心を持とうとしないかもしれません。
「知らない世界」があることを思い出すようなきっかけをつくる、ふだん関わらないような人、動物などとふれる、自然のなかで過ごす、など一案です。
・あなた自身のケア・ヒーリング
家族や近くに傲慢な人がおり、諌めようにも、気づいてもらおうにも難しいときは、まず自分自身のほうに劣化、疲労、落ち込んでいるものがないかチェックしましょう。
多くは、体調、衣食住など、比較的外的なことの癒し、ケアをすることで、不思議と相手の傲慢な態度も癒えていく傾向にあります。特に、我慢やストレスから傲慢になったいる人は、こちら側の不調にかえって負に反応します。そもそも傲慢な人は、受け入れる心のゆとりがありませんので、あなたがいっぱいいっぱいでしんどう状態であるなら、余計に上から目線で追い込んでくるでしょう。
先のYさんのカウンセリングでは、長らく放置していたある体調について病院をお探しになることがお悩みでした。
自分の傲慢さをチェックする
対人関係だけでなく、自然や環境などに対しても傲慢さを発してしまうことがあります。
自分自身に傲慢なエネルギーがあるのか?
ヒーリングの心得がある方は、セルフヒーリングをしてみると良いかもしれません。
傲慢さがあると、物事がうまくゆかなくなっていきます。
そして、力や価値があるものを使って、なんとか物事を進めていこうとするでしょう。あるいは、そんな力や価値があるものを自分は持っていないと嘆くかもしれません。
傲慢さをうまくヒーリングすると、そのようにアテにしている力や価値がなくても、その物事がうまく運び始めるでしょう。
ケースバイケースで、自分ならではの具体的な傲慢さの課題があるとして、本質的にそれらをまとめると、概ね、生きていること、生かされていることに対する当たり前・・・な傲慢さに起因するようです。
つい忘れてしまっても、ときどき意識してみるなら、生きることが楽になるかもしれません。