程度なプレッシャーをかけるように「追い込む」と、うまく出しきれない力を発揮できることはしばしばあります。先生などの指導者が、生徒や力を伸ばしたい相手を適度に追い込むことで、潜在能力を引き出すことができるでしょう。
追い込むときは、本人のスペックや力量、個性を見ながらの加減は必要です。目標や期限を設定する、仲間や良質なライバルがいることが、追い込むサポートになったりします。
根っからの性質で、追い込まれると伸びるタイプはいますし、逆に追い込まれる空気や体制でストレスが強くなり伸びるどころか疲弊するタイプもいます。
自分自身に対して追い込むのは難しいものの(加減するのが自然ですから)、追い込んでもらえる信頼できる指導者や環境があれば、トレーニングや鍛錬として力を引き出したり伸ばしてもらえるでしょう。
さて、追い込みと、似て非なるものが「追いつめる」ことです。
心理的・精神的な課題として、追い込んで自分を伸ばそうとする人よりも、「自らを追いつめる」人のほうが多いようです。
他人から追い詰められるときには、相手の態度が表に現れ、まだ対処するにわかりやすいのですが、自分を追いつめる人は、その性分もあり、それが自分の力を発揮する限界になることを自覚していない人が多いものです。
追い込みは、物理的に追い立てるような行為ですから自他ともにわかります。
しかし、「追いつめる」ときは、自他ともに(他人から追いつめられるときも含め)ダメージを与えることになります。
スピリチュアルに物事を考えるのが習慣になっているTさんは、身の回りの起こる現象にはどんな意味があるのか?という思考がお強いようです。
Tさん「腸の具合がよくなくて、病院で検査しても問題はないと言われます。わるいといっても日常生活は一応きちんとできますが、外出や、何かと集中するのが難しいです・・・それと、それほど食べてないのに体重が増えるし、寝るまえに食べちゃうので、それが原因だとわかっているのにわるい習慣でつい食べるんです・・・そんなことは、自分でなんとかきちんとしなければならないことなんですが・・・」
強烈なトラブルに感じられないようで、Tさん自身にとっては、諸々の問題を集約しているような印象です。おっしゃる以上に、ご自身のそもそもの問題が、腸の具合や、体調・体重管理に投影されているかもしれません。
お話を伺っているときに、諸刃の剣のような刀の画像が視えてきました。他者を切るためでないにせよ、Tさんが何かに取組むときに、自分側のほうにも傷つける可能性があるような刀です。
どうやら、Tさんが気づかぬうちに、剣の刃を自分にも向けてしまい傷つくようなパターンを象徴している画像です。
画像を読み込んでみると・・・
腸の調子が悪い、体重が増えた→「私が悪いんじゃないか」
「この自分が悪いんじゃないか」の部分が、自分側に向いている刃を示しているようです。
原因や、解決する方法を探りながら、自分側ある刃は、無意識に自分を責めているのかもしれません。
Tさん「あ、そうとも言えるかも、です!うまくいかないことがあると、何でも自分のせいでそうなったと考えることがあります。人や周りに原因があったとわかっても、なんで自分がそんな目に遭わなくちゃいけなかったのか、と」
追いつめるときは、非常に思い込みのストーリーが強くなっており、またそれを何度もリプレイします。映画やドラマならそこまで何度も見ないよ、というぐらい再生しています。余計に追いつめてしまいますね。
追いつめるような思考は、原因や本質を探っているように見えて、実際には癒えていない傷や未解決な問題があるの可能性があります。追いつめるパターンに気づいたときには、ご自分の過去の課題を通して、心に向き合うサインかと思われます。
自分に向き合うなかで、刃が自分側に向いていることに気づくきっかけにもなります!
未解決な問題や癒えていない傷があるのか、少し時を遡ってみると・・・
Tさん「今さらなことで前々から知っていることですが・・・子供の頃によく言われていたのが『ちゃんとしなさい』という母とか、周りの言葉です。大人になれば、ちゃんとする、という意味はわかるけど、子供の頃はそれを言われるとすごく緊張してお腹がキュッとしました・・・頭の中に〈ちゃんとする〉がいつもあると思います。でもちゃんとできてないんですけどね、今も・・・」
当時の状況が、大人になるにつれてさまざまな経験とあいまり、ちゃんとするために、頭でご自分を追いつめる思考パターンになり、更に腸の調子に影響したのかもしれません。
さらに、Tさんの場合は、胃や腸が、建物の菅や土管のように無機質なモノのように位置づけれていて、ご自分の生身の体を労り思う感覚が薄れてしまっているようでした。
頭で考えすぎる、思考で物事を処理する時間が多すぎると、感覚で感じることを忘れて、頭で思いつめるようになります。
文字通り、思いでいっぱいいっぱいに詰まってしまいますね。
体調や心の部分で辛さや不調が出ているときは、ご本人の頭で意味づけしたりなんとかしようとする以上に、ただ自分に気がついてほしい、といったサインを出しているものです。
しかし、追いつめるくせがついていると、他者や周囲の基準や価値観に応えることが優先になり、さらに無理を強いてしまうもの。その前に気づけるとよいですね。
自らを追いつめる方は、いわゆる真面目な人、周囲に対してしっかりした対応をする人が多いものです。
そんな中でも、人知れずうまくゆかないとか、辛さを感じるときは、本質的に刃が自分に向いていることを発見できるとよいでしょう。
追いつめる元になっている原因や価値観は、それほど絶対的なものなのか?そもそも、人間が意味づけた原因、物事の優劣や価値観が何であれ、意味や価値があろうがなかろうが在るものは在る、といった具合でしょうか。
自らを追いつめているときは・・・
① 追いつめる要因になっているものから離れる
② 自然や屋外など広々、開放的なところにいく
③ スローペースに動く(ゆっくり散歩、ゆっくりジョギング、ゆっくりお風呂・・・)
④ 胸、胸部を広げる(胸まわりが堅くなっていたり、呼吸が浅いなど)
⑤ 特定のものごとからではなく、自主的に追いつめていないか問うてみる
なにか紐解くきっかけになれば幸いです!