イヤーリーディングの終盤で、月ごとのリーディングを行ったりアクティベーションを送ると、そのタイミングでご自身が手放せる過去の課題が、はっきりと浮上することがあります。
過去の課題というのは、今世や過去世の体験に由来する場合が多いのですが、エネルギーのレベルであらわれるエピソードの多くは、無意識下に隠れていることが最近わかってきました。
記憶に残り、思考にひっかかる出来事は言葉や文字で表せるので、密度の濃い重たい情報です。
一方で、エネルギーはミクロ(波動や量子の領域)に近く曖昧で、集合分布的な性質を持っています。
つまり、意識を向けたときに相乗効果によって具体的に表面化してくる、というわけです。
リーディングはエネルギーの情報を読み取り、アクティベーションはエネルギーを揺らすようなイメージで捉えるとよいでしょう。揺さぶられることで、ご自身のエネルギー領域が自然に(人為的や恣意的でなく)適切な変化を起こしていきます。
年末に行ったSさんのセッションでのことです。ある月のリーディングにおいて、「マザーボード」に関するアクティベーションを流しました。
マザーボードとは、いま私たちが使っているパソコンに必ず搭載されていて、メインの動作を管理する中心的な部品ですね。
人類の潜在意識も、コンピューターに例えるなら、このマザーボードに相当するような核の部分がある、とイメージしていただくとわかりやすいでしょう。
この「マザーボード」のエネルギーを受けて、Sさんが嗚咽するほど苦しく泣いている様子が視えました(リーディングの情報)。
何か現実で大事件が起きたわけではなく、内面で大きな変容が起こり、悟りや覚醒に近い感動がこみあげてきた結果の号泣のようです。しばらくすると、何事もなかったかのようにケロッと戻っておられます。
Sさん「なんでしょうね。泣いたあとは、すごく晴れやかな感じがしますけど」
さらにセッションを続けていると、「宇宙は私に借りがある」という情報が出てきました。
言葉で説明すると、どうしても思考によるフィルターがかかってしまいがちですが、要するに「自分の人生は、自分に借りがある」ということなのです。
細かな事情はともかく、自分に対して負債を抱えてきたかのように、犠牲を払い続けてきた側面がある、というイメージでしょうか。
実際のところ、Sさんはどれほど苦労しても、乗り越えてしまえばあっけらかんとして、周りにも苦労話をほとんどされません。
そんな気質からでしょう、前半のセッションでは、
「私はシングルマザーで子ども2人を育てなきゃいけなかったんです。だけど、たとえば女の子ひとりを育てているお母さんが“大変”というのを聞くと、え?と思ってしまうんです。体の弱い子なのかもしれないとは思うけれど、2人育ててきた私からすると、どうしてそんなに大変なのかなって、正直わからなくて(苦笑)」
という話を共有してくださいました。
Sさんは、長い年月を経ていま乗り越えたからこそ、そう言えるのかもしれません。
当時は苦労の真っ只中にいて、弱音を吐く暇も止まって考える余裕もなかったこと、助けを求めるどころではなかったことを覚えていても、意識的には尊重していない可能性があります。
子育てに限らず、自分が押し込めてきたものは「しょうがない」と受け入れるしかなく、後から恨んだり後悔したりしない、と腹をくくって抑圧してきた部分を、ようやくこの時期に認められるようになってきた・・・それが「宇宙は私(自分)に借りがある」と気づくこととも繋がっているようです。
極限の苦労を経験した人のなかには、それを認めない(認めてしまうと自分が壊れてしまうように感じたり)、あるいはわざと忘れたまま、パンドラの箱の底にしまいこんでしまうことがあります。
そうした場合、他者の苦労や悩みを耳にしたとき、その内容に対して複雑な反応を示すことがあります。
相手の苦労にピンとこなかったり、理解できないと感じたり、ときには評価や批判に走ってしまうかもしれません。
そもそも“共感”とは感覚をシェアすることであり、相手の感情を代わりに背負ったり、相手に干渉することではありません。
しかしエネルギーのリバランスが進むと、抑圧されていた自分自身の苦労や痛みを改めて認め、大切に扱うことができるようになります。
その結果として、他者の苦悩が相手にとってどんな意味をもつのかを、安心して自然に受容できるようになっていきます。
「宇宙は私に借りがある」という気づきをサポートするには、まずはご自分を大切にするという心がけが有効です(実際に関連したアクティベーションを流すこともあります)。
意識の変化が起これば、不思議と自分自身があっさり晴れやかになるものです。
Sさんの例はとてもわかりやすいですが、私たち一様に通じる話でもあります。
自分に過度な負荷をかけ続けたり、やり遂げた自分をちゃんといたわっていないと、他者や社会に向けて厳しい姿勢になりがちで、そのまま自然に共感することが難しくなるものです。
Gabrielle Bernstein(ガブリエル バーンスティン)の“The Universe has your back”(宇宙はあなたを応援している) という本のタイトルを彷彿とさせます。