今どき、天秤を使って物を計る人は、ごく限られているかと思います。ただ「天秤にかけてる」という言葉を聞いて、実際天秤をリアルに見たり使ったことがない人でも、すぐに意味はわかるでしょう。
天秤は英語では、バランス(Balance)とかスケール(Scales)と言います。
そう、バランスや計るための道具ですものね。
さて、メンタル/思考や行動面においては、何かを計る(図る)、バランスを取ることを頻繁に試みている方は多いと思います。
生活の中でのバランス、能力や愛情を計る?とか、将来を予測して図るなど、その精度はともかくとして、この手の天秤をよく使っているはずです。
あなたは、どんなときに、どんなふうに「天秤」を使っていますか?
「天秤」を使うことは役に立ちます。
しかし、どんな目的で使っているのか、バランスや計ったものの結果をどう捉えているのか、などによって、助けになるのかアダになるのか微妙です。
Kさんがデトックスセラピーのセッションにいらした理由は、「人生が凡庸になってしまった」というもの。
Kさん「今のままで何もわるくはないと思います。以前困っていたことや、悩むようなことは、今はありません。
これから何かをやりたいという目標や夢は大してありませんが、今は落ち着いて暮らせることにありがたいと思っています。
でも、そう言いながら〈本当にそれでいいのか?〉という別の声がしていて。
どちらが本当の自分の声からわからないし。
敢えて言うなら、落ち着いているのか、人生が凡庸になってしまったのか?そこをスッキリしたいと思って受けてに来ました」
Kさんに限らず、ご自身のスピリチュアルな感覚からセッションにいらっしゃる方は、何を明確に求めているのかご自分ではハッキリわからないけれど、“なにか大事なことがある”と、とある感覚で感じておられるようです。
その“なにか”は、通りいっぺんなことではなく、その方ならではの、“今のなにか”です。一般論や、多くの人に当てはまる処世術では腑に落ちないような状況と言えます。
Kさんから発せられた「凡庸」というワードを引き出しに使うことにしました。
ワードとは、“言葉”よりも、ご自身にとって何かと繋がっているアンカー(錨・繋げるもの)を示しています。
今回は、「凡庸」をワードにデトックスとヒーリングを試みました。
すると、デトックスするアイテムとして「天秤」のイメージが出てきた…ようです。
Kさん「クラシカル?レトロ調な天秤のイメージが出てきます。高価で大事に自分が使い込んできているものです(Kさんが物として所有はしておらず、意識の中で使っているという意味)」
この天秤をどのように使ってきているのか?
特に、毒素など、ネガティブな要因になっている使い方をしているのかを体験してもらいました。
Kさん「(毒素になっている)使い方をしていますねぇ… それが、いつも何かと比べて計っている、こと。以前あったこと、経験、特にうまくいかなかったものを思い出して、いちいち目の前のことと比べています。無意識というか、自動的に比べてます。
出来事だけじゃなくて、人と関わるとき、些細なことも、わざわざ何かと比べています。
計ることがいけないんじゃなくて、それがパターンになっていることを止めないといけないです。比べる中毒というか」
なるほど、天秤で計るとかバランスを取ろうとすることがNGではないですね。
それを自動的にやってしまっているのが、中毒(毒素)なわけです。
さらに、ヒーリングする要素を深く探っていただくと。、
Kさん「やっぱり、子供の頃から、親、特に母なのかと思いますが、母親の基準にちゃんと合っていないといけない、という思いがずっとあるんだと思います。
実際、子供時代から大人になっても、親の言うことを聞かないで決めてきたことはたくさんあるんですが、最近、自分が凡庸だと思う頃から、母の基準にしたがっている気がします」
このようなエピソードは珍しくないかもしれません。躾や教育のなかで、多かれ少なかれ、よくもわるくも影響は受けて然りです。
これも、前出の天秤と同じからくりがあります。
誰か(Kさんの場合はお母様など)の価値観に意見を基準に合わせる、合わせようとすることは、別に問題がありません。
(正確には、合わせる、合わせようとすることが課題となる人、課題になる時もあります)
天秤の発見をしたKさんにとっては、Kさんがご自分の持ち得る力やKさんという存在に自信が持てなくなったり、しっかり持ち得るパワーを発揮していないときに、過去の価値に合わせることで無難な状態を続けてパターンを選択しています。
ところで、ヒーリングとは、癒しとともに、エネルギーを活性し、潜在的なパワーを引き出す働きがあります。
パワーは能力や技量に限らず、特に魂(本質)から発する“らしさ”(Kさんらしさ)です。
“らしさ”を忘れる、失せるような状態になると、ますます自分のパワーが小さくなり忘れてしまい、不用意に周りや過去のエピソードや、些細なことにも引きずられてしまいます。
凡庸というのは、やや下げずんだ意味合いでの平凡さをさしていますが、Kさんがご自身の人生が凡庸に感じている部分は、実際の暮らしぶりではなく、Kさん自身を凡庸にさせていた自己不信やご自分の持ち得るパワーを放念していたことに起因していたようです。
スピリチュアルや内なる世界観を好む方は、とかく、Kさんのような大切な天秤を持っている傾向があります。
ときには、この天秤で魂や精神性のバランスを取ろうとしたり、何かと比べて計ったり。
もし天秤を使うとしたら、ご自分なりの方法で、「外」に出してみるとよいでしょう。
たとえば、バランスや計りたいものを、文字や絵に書いてみたり、そのような話ができる友人知人(ネット上のお友達?)に話てみるなど・・・
スピリチュアルや内観の世界は、思い込みや思い詰めと、妙に紙一重なところがあります。しんどいときは、内側に潜りすぎの傾向があり、逆に面白さや愉しさを発見しているときは、内観に思い切りダイブしてよいでしょう。
なお、魂が優位なときは、この手の天秤を必要としないかもしれません(笑)
ただ、取り巻く環境や人間関係、ご自身の身体・物理的な関わりと調和するために、天秤が必要になるときがあるでしょう。
最後に…
あなたは内なる境地や心のなかには…どんな天秤はありますか??