煩悩(ぼんのう)の重量を測れるとしたら?
煩悩が多いほど、重量は重たくなります。初期の段階では、感覚的な重たさとして感じますが、煩悩の数が増え、それらの織りなす煩悩の相乗作用が働き、物理的な重さになっていきます。
煩悩が多いと、身体が重たくなる、身動きや行動が億劫になる、さらに自分の関わる物事が重たくなる、といった具合です。
多少の煩悩があってこそ、「人間らしい」とか「煩悩も情のうち」といえますが、人生が生き難いとか「最近、生きるのが面倒くさい」などと感じはじめているなら、煩悩を軽量化したほうが良さそうです。
一方、煩悩が何も無いというのは、世俗から切り離れた生き方をしている状態で、社会や人とつながる人間関係の部分はかなり希薄なものです。特殊な状況か、むしろ世俗から離れた生き方が仕事、お勤め、なんらかの事情で世間と関われない(病い、罪の禊を祓うなど)というケースです。
ところで、煩悩事態は物としての実態はありません。煩悩の観念が、さも実態があるものに化身して影響を及ばす、と考えられます。
早春の時期は例年「デトックスセラピー」を行っていますが、今年は「煩悩」をデトックスする内容です。食事やダイエットの目的何多いデトックスに対して、観念、想念、価値観、思考、感情、メンタル、魂の領域でのデトックスは、セラピーやエネルギーワーク(ヒーリングなど)の得意とするところです。
五蓋(ごがい)の教えに因んだテーマから、選んでいただきますが、意外にもザ・煩悩というヘビーなものより、日常生活で感覚を鈍らせるような地味なものを選ぶ方が多いようです。
あまりに煩悩が重たいと、イメージや感覚を体験しにくい可能性はありますので、ちょうどセッションを進めるにはよいでしょう。
五蓋とは
● 欲望、貪欲、渇欲、わるい心の象徴
● 瞋恚(自分の心に逆らうものを憎む)、悪意、憎しみ、怒り、貧相な自分の象徴
● 惛沈睡眠(心が不活発になり眠くなること)、倦怠、眠気、不健康、不摂生な自己
● 愚痴、疑いの心、卑しい気持ち
● 掉挙悪作(心が昂り頭に血が上る)、心の浮動、後悔、甘え、我執(我を通す)
2月の時点でトップ3は、「不摂生な自己」「疑いの心」「後悔」でした。セラピーの体験は個人的なもので、それぞれの体験を言葉にすると少し奇妙かもしれませんが、なんらかの内観系のセラピーを体験したことがある方は、少し想像しやすいと思います。
Mさんは家での仕事が増え、生活が楽だけど不摂生でけじめがないとおっしゃいます。さっそく「不摂生な自己」をテーマに体験してゆくと、
Mさん「家のキッチンにいて、バーカウンターの椅子に座って、片腕をくんでタバコをふかしています。あっ、実際は私は吸わないですよ。ツンデレというか、それより態度がわるい。人に対してでなく、生きる姿勢がわるい。腰が重たいというか慢性的な腰痛みたいな。懐疑的。「それで?」と。斜に構えている。お腹がくぼんで姿勢がわるいですね」
Mさんはタバコを吸わないのに、このようなイメージが出てきたようです。さて、ここでデトックスのために波動をあげていきます。すると、
Mさん「椅子がくるくると回りだし、遠心力で飛ばされてぴょんと立ち上りました。体操選手が着地するように。すっと晴れやかに。腰が軽やか。前に進んでいきますね。不摂生とか、そういうだらしなさがないです!」
潜在意識はコマンド(指示)をもらうと、意外に素直に反応します。Mさんは根っからの不摂生ではなく、何かをきっかけに(たとえばリモートワーク)生きる体制、姿勢が崩れてしまったのでしょう。
「心の浮動」の煩悩を選んだSさん。やりたいことを思うようにやれず、行動に躊躇しているとのこと。
Sさん「テレビのような画面の前でやじろべえみたいに左右に揺れている。安定してじっと止まれない。もうしばらく長い間こういう状態でいるみたい。自分でもこの状態であることは気づいていた。どうしようもなかった」
という状況がデトックスを象徴していました。さっそく、この状況を変換していくと、
Sさん「画面の中に吸い込まれて、その中から画面の外にむかって、何かを発信している。自分が発動する、受け身ではなく?力点を変えることみたい」
Sさん自身には合点のゆく体験のようでした。ちなみに、画面やスクリーンが出てくるイメージは、よくいえば客観的ですが、ネガティブになると、主体的に関わらないことを象徴しています。
少し珍しいテーマ「貧相な自分の象徴」をデトックスしたいと言うWさん。少し過去に対してのこだわりも強い様子でした。
Wさん「うずくまっている。石みたいにです。まるまっている。生まれたときから?お腹の中にいた頃からこうしているみたいで。
そういえば、子どもの頃、『ダンゴムシみたいだね』と笑われたことがあります、いじめとかではないんですが。
丸まっていると安全なような落ち着いていて嫌ではないですね。でも〈萎縮〉とか〈いじけている〉状態と感じます。だから、むしろ、丸まっているのが心地いいみたいです」
実際に、ワークの中では少し暗示にかかりますので、Wさんは実際にしゃがんで膝を抱えて丸まって実況してくれました。
さて、すぐデトックスのエネルギーを変換していきましょう。
Wさん「(両腕を上に広げ、両足でしっかり立ち上がり)桜の花の花びらみたいに、わぁーと自然に体を広げたくなりますね、晴れやか!すっと、動ける。ようやく目覚めた!という感じです」
なんだか展開が唐突ですが、ヒプノなどに入りやすいWさんにとって、受け入れやすい変化のようでした。
あからさまに「疑い深い」という人は多くないと思いますが、先のMさんは「疑いの心」を続けてワークしました。
Mさん「窓から遠くの景色を眺めています。でも、晴れやかなビジョンがない。 良いものをみても、ワクワクしない。むしろお腹のあたりが重たくなるような、不安な気持ちになる。何かに怯えていて、それは実態はないもので。いわゆる不安だと思うのですが」
デトックスをしていくと・・・
Mさん「〈なるように(ちゃんと)なるんだよ〉という言葉が浮かんできました。今、ちょうど窓から日差しがさしてきて、目を閉じている瞼の裏が濃いオレンジ色に見えた。さっきまでモヤモヤしていたお腹のあたりに力強いものがはいってきた感覚です。こんな鮮やかな橙色を見たことがないくらい」
よくあるあるですが、セッション中に窓から日ざしが差し込んだり、うまく状況をサポートするようなことがあります(笑)
「後悔」の煩悩をデトックスしたKさん。後悔は重たい煩悩に入りますが、その時点ではヘビーであっても、今はもう達観している場合は比較的軽量化しています。
Kさん「ベランダから下を見て飛び降りそうなところなんです!絶望!という感じ。たぶん(イメージの中で)このまま飛び降りちゃいます」
穏やかではない状況ですが、早速この煩悩を変換していくと、
Kさん「肩甲骨のところから天使の翼がはえてきました。落下していくところを途中からふわっと空中に浮いています」
落下してからの天使でなくて、落下途中に天使のようになったのですね(笑)
Kさん「〈自らを救いなさい、それが羽ばたきになる〉って。〈後悔は、まだ道の途中〉?という感じです」
映像やイメージだけでなく、デトックスしてエネルギーが軽くなり波動が上がると、言葉による気付きがふっと出てくるようですね。
今年のデトックスセラピーは、想像豊かなイメージが出てくる方が多いようです。ふつうに人に話したら、夢の中の話をしているようなレベルですね。
このように、感覚的なものをイメージで視る、というのは、脳にとってはストレス全般や圧迫感(緊張、不安、ネガティブな心理的ストレス)を解放する働きはあります。結果的に、心身の力を緩め、生きることに対する力み(りきみ)が緩和していくようです。
「力を抜いてやるとうまくゆく」「力が入りすぎて失敗する」ということが、芸やスポーツ、仕事、人間関係などについて言われます。ある程度の力を抜いて人生を生きることは、人生を浮薄に生きる真髄なのかもしれませんね。
そのほうが、同じ景色が少し美しく見えるはずです。
2021年2月1日(月)~3月31日(水)対面・オンラインセッション可