2028年のロサンゼルス・オリンピック(LA28)に向けて、現地では「Twenty-Eight by ’28」という交通整備計画が進められています。鉄道延伸やバスレーン整備など、2028年までに多くの交通インフラプロジェクトを完成させようという取り組みです。
今回、私が宿泊したホテルから10分ほど歩いた場所に、2025年6月に開業したばかりの壮観な LAX/Metro Transit Center駅 がありました。

本来であれば、ここから空港ターミナルまで、Automated People Mover(ピープルムーバー)という未来的な乗り物で一直線のはずでした。ところが、2023年完成予定だったこのシステムは、契約トラブルやテストの遅れが重なり、2026年3月現在もまだ稼働していません。オープンは2026年後半以降とも言われています。

とはいえ、せっかくの機会です。
Expo終了後の2日間、ロサンゼルス市内のメトロやBig Blue Busを実際に利用しながら、的を絞った小さな観光をしてまいりました。
新駅 LAX/Metro Transit Center とロボット無人コンビニ
日中のメトロ移動では、駅構内や周辺、ホームに警備員や警察官、駅スタッフが数人体制で配置されていました。時間帯によっては、利用者よりスタッフのほうが多いのではと思うほどです。

早朝ランニングを兼ねて、この駅までわざわざ足を運んだのには理由がありました。

ぜひ自分の目で見てみたかったものがあったのです。
それが、ロボット無人コンビニエンスストア VenHub です。駅と同じく2025年6月にオープンしたもので、コンパクトな空間にかなりの商品数が収められ、高度なカメラ認識や機械学習を活用したロボットアームで商品を取り出す仕組みになっているそうです。

実際に利用を試みたのですが、購入には専用アプリが必要で、どうやら米国のApple IDがないと利用しづらい仕様のようでした。今回は断念。私が見たときは、利用している人もいませんでした。近くにいた警備員さんに聞くと、ロボットアームには「Barb(バーブ)」と「Peter(ピーター)」という名前がついているとのこと。

防弾ガラスや堅牢な盗難防止構造、440Cステンレス鋼のスケルトン仕様といい、いかにもアメリカらしい発想です。
ちなみに、宿泊したホテルのロビーにもロボットがいました。フロントで尋ねたところ、「料理を運ぶ配膳ロボットだけれど、今はストライキ中」とのこと。つまり故障して止まっている、という意味らしいのですが、その表現が妙に印象に残りました。
日本でも人手不足を感じますが、ホテルのフロント自動化は、タッチパネルがありつつ近くにスタッフが1人待機している、といった形が多いように思います。一方、LAX周辺のホテルでは、Expo会場のヒルトンや隣接するマリオットホテルも、一度は自動化を導入しながら、どこか人のサービスに戻っているような印象を受けました。スーパーのレジも無人レジと有人レジが並走しており、そのあたりは都内近郊の食品スーパーにも少し似ていました。
技術は進んでいても、結局のところ「人がいる安心感」や「人の判断」がまだ必要とされているのだろうな、と感じます。
メトロとBig Blue Busで、サンタモニカからマリナ・デル・レイへ
Googleマップが使え、通信環境も良好な海外では、初日からかなり正確に移動できる時代になりました。

ただ、それでもある程度その国の言語が読めたり、事前に少し下調べをしておくと、不安の少ない移動になります。
ロサンゼルスのメトロは、地域によって治安や客層が変わるのこと。これはどこの都市にも共通することでしょう。
今回は、多少土地勘のあるサンタモニカへ向かうことにし、K LineとE Lineを乗り継ぎました。

日中はどの駅も、ホームや乗り換え構内に警備員の姿があり、

駅によっては鍵付きのトイレも設置されています。

こちらは有料のもので、QRコードから支払して利用するタイプ。今回は使いませんでしたが、10分経過するとドアが開くそうです。
日本ではほぼ当たり前のことでも、駅にトイレがあることのありがたさを、海外ではことさら感じますね。
車内で路線図を眺めているうちに、サンタモニカとは反対方向の Little Tokyo駅 にも立ち寄ってみることにしました。


車内では安全を促す放送が流れ、駅やホームでは警備体制が目に見える形で保たれていました。
Little Tokyoでは、志麻ヒプノがお世話になっている「風月堂ビル」と同名のお店を発見。

お菓子屋さんのようでした。

まだ朝早いせいかオープン前の店が多く。山崎(ヤマザキパン)のショートケーキ、寿司などの日本食店が並ぶ一角。

下町の衣料品店を彷彿とさせますね。

乗り換えの Union Station は大きく、ここでも乗車券は2時間以内なら無料で乗り換え可能という仕組みが便利です。駅外の公園はちょっとした憩いになります。
進路を変えてDowntown Santa Monica 駅へ向かいます。

E Lineの終点を降りて、5分歩けばお馴染みの観光スポットです。

平日のせいか、人出は少なめ。ビーチで泳いだり、サーフィンを楽しむ人たちが一定数います。

生き物たちはのどかです。

その後、サンタモニカビーチからBig Blue Busに乗って マリナ・デル・レイ へ。

ここは、世界最大級のヨットハーバーらしいです。むかしのアメリカ映画でしばしば見かけます。(犯人がヨットで逃げようとする・・・的な展開)
人も生き物も落ち着いて暮らしているようです。


日本に入ってこないお手頃な洋服ブランドを目当てに立ち寄ったのですが、街の空気や海辺の光、見かけた動物たちも含めて、移動そのものがちょっとした旅になりました。
帰り道は、朝のジョギングのおかげでホテル周辺の街並みが頭に入っており、Googleの案内とは別のバス停で、より都合よく下車することができました。些細なことですが、移動の自由度を上げてくれるのは嬉しいです。
鉄道ルールの違い
翌日には、ホテルから近いAviation/Century駅からメトロを乗り継いで Downtown Long Beach駅 へ向かいました。朝早めの出発です。

2024年11月3日に開業した新しい駅。自動改札も完備。

さて交通網利用あるある。昨日も来たとか、慣れたような気になったときに勘違いは起こるものです(私の場合)。
ロサンゼルスのメトロでは、同じホームに異なる路線の電車が入ってくることがあります。たとえば、C Line(C線)とK Line(K線)/ A Line(A線)とE Line(E線)のように、駅を共有している路線では同じホームを使うのです。日本の都市鉄道に慣れていると、同じホームには同じ路線の列車が来る、という感覚がしみついているので、ついその前提で見てしまいます。

次に来た電車が「自分の行きたい方向なのか」を、毎回きちんと確認する必要があります。私も一度うっかり乗りかけましたが、路線図を見て、アナウンスを聞いていたおかげで、次の駅で降りて戻ることができました。
旅移動の疲れや勘違いもあるとはいえ、自分の慣れた環境で成り立っている前提や思い込みは、国や地域が変わると改めて気づくことができます。そういえば、以前スイスでも、上下線のように見える2つのホームのどちらにも異なる行き先の電車が来て、乗り方に困ったことがありました。結局、近くで鉄道工事をしている人に尋ねたのですが、多言語国のため、なんとなく話が通じていそうなやりとりを信じて、乗車することができました。
線路を切り替えて運行しているのでしょう。(鉄オタさん方なら線路をみてわかりそうな気がします)

車内に戻りますが、間違えたK Lineは清潔で、朝の利用者は殆どおらず。車内での飲食禁止が守られています。空港関係やスターバックスのオフィスが近くにありました。
A Line で Long Beach ー Catalina Island へ
Willowbrook/Rosa Parks 駅乗り換えて、Downtown Long Beach駅 に向かうA Lineは、前日に乗ったE Lineとはまた乗客層や街の印象が少し違って見えました。

ロサンゼルス特有の明るい日差しが車内に差し込むので、そのギャップもまた印象的です。それでも、10年以上前に利用した頃に比べると、車両もホームも格段にきれいになっていました。

駅に停車すると、ホームにいる警備員が車内を窓越しに確認したり、怪しげであったり迷っている降車客に声をかけます。車内では “If you see something, say something” という安全喚起のアナウンスが頻繁に流れます。いわゆる、見せる安全対策が徹底されている印象でした。

Long Beach駅から徒歩15分ほどでフェリーターミナルへ向かい、そこから Catalina Island(カタリナ島)へ。今回で4回目の訪問です。

9時50分発のフェリーで出発し、

魚の群れが集まっている・・・ナブラが立つ、というのでしょうか。

屋外のデッキは絶景。

11時頃に到着。カタリナ島で有名な左側の円形の建物は、カジノ施設。実際には使われたことがなく、今は地元の催し物会場として映画なども上映している。

今回はAdventure Tourに参加しました。島にしか生息していないカタリナ島キツネや鹿には会えませんでしたが、珍しくアメリカバイソンの群れを遠目で観ることができました。このバイソンたちは、アメリカ映画撮影のために持ち込まれて、そのまま住み着いているとのことです。

カジノ施設の先のAvalonを探索

慌ただしい日帰りですが、カタリナ島の空気や光は何度訪れても独特です。本土のロサンゼルスとは異国に感じます。
帰路は15時55分にカタリナ島を出発し、船内では爆睡。
Long Beachへ戻り、再びメトロでLAX方面へ向かいました。
日没後の空気感もろもろ
日の入りが近づき、あたりが少しずつ薄暗くなってくると、車内や街の雰囲気は日中とは変わってきます。以前にも感じたことですが、夕方以降は空気が少し荒くなるのです。そして、日中にはよく見かけた警備員の姿も少なくなりました。見せる警備が終わる時間帯なのかもしれません。
電車自体に大きな遅延はなく、乗り継ぎもスムーズでした。ただ、降車駅が近づくにつれ、ホームレスの方や独り言を大きな声で話している人の姿は増えていきました。
とはいえ、こちらに向かってくるわけでも、暴れているわけでもありません。必要以上に反応せず、自分のテリトリーを確保し、集中して移動することにしました。
車内の座席に酒ビンが転がっていたり(飲食禁止なのに)床に食べ残しのファストフードが捨てられていました(たまたまこのときですが)。
一般的にはLyftやUberのような配車サービスを使うほうが無難でしょう。実際、現地ではそれが標準的な選択肢だと思います。一応、アプリは入れておきましたが、LAエリアではLyftのほうが配車の使い勝手がよいという話を聞きました(2026年2月時点)。
ロサンゼルスでは、日本のSuicaやICOCAのように TAP という交通アプリが使えます。

物理カードもありますが、iPhoneユーザーなら最初から利用しやすい形になっており、クレジットカードからチャージして使います。

2時間以内の乗り換えは何度でも可能で、基本的には1日最大5ドル程度。Big Blue Busではさらに1.75ドルほど追加されたようでした。

駅、電車内、バス内に自転車と一緒に乗り込む人も多くいます。
車社会のロサンゼルスとはいえ、車を持たない人のための公共交通網として、かなり実用的に機能していることがわかりました。日中に利用してみると、学生や地元の人のちょっとした移動、観光客まで、思った以上に普通に利用しています。日本の安全水準がグルーバルレベルで高いのですが、ロサンゼルスの公共交通は危ないという昔の印象は、オリンピックに向けてもおおいに改善していると実感しました。
街の事情
今回の移動中、ふと以前、教授が「日本は先進諸国の中でも精神的な不調(精神疾患)を抱える人が近年きわめて多いが、それはなぜだと思うか」と話されていたことを思い出しました。
最近の日本の都市部では、街中や駅で、精神的に不安定そうな言動をする人や、奇声をあげる人、寝転んでいるホームレスの姿を見かける機会は激減したように感じます。もちろん今でもゼロではありませんが、少なくとも昭和や平成のころに見た風景とは違います。日本では、特に都市部において(駅や街中、地域、組織)「普通」と少し異なる振る舞いに対して、社会全体がかなり敏感に反応しやすいのかもしれません。
そういう意味では、LAのメトロで見かけた乗客の様子や、Long Beachのダウンタウンでカートを押して歩く人たちの姿には、どこか昭和や平成の日本で見た風景に近いニオイを感じました。社会がどのようなものを表に出し、どのようなものを見えにくくしているのか、その違いを考えさせられました。
「当たり前の安全」という奇跡
2月末のLAXは、思っていた以上に平穏でした。コロナ禍やテロ騒動以前の空港の雰囲気に近く、航空会社のアプリやESTAを事前に整えておけば、チェックインも入国もとてもスムーズです。今回利用したUnited Airlinesも、アプリでほとんどの手続きが完結しました。保安検査は、大阪万博ややや厳しめのテーマパーク程度の感覚です。

787 DreamLiner ドリームライナー
すでにご存知の方は多いのでしょうが、日本のパスポート更新はオンラインで完結し、10年前の更新時とは段違いに早くなりました。マイナカードの紐付けの効率化を実感しました。(ただし現状では新パスポート発行までの日数が対面受付より長めでした)
現地では、日本で感じるほど「観光客であふれている」という印象もありませんでした。
一方で、帰路のフライトでは、気流の悪いところを通ったらしく揺れが大きく、客室乗務員の方が食事サービスを何度か途中で打ち切る場面がありました。私は12時間のフライトの大半を爆睡に充てたのですが、羽田に着陸したとき、「今日のキャプテンは 素晴らしい着陸(wonderful landing) をしました」(意訳)というアナウンスが流れ、乗客たちが拍手を送ったのです。それだけ機体が揺れていたのだと納得しました。
安全というものは、知っていても、知らなくても、ごくわずかなタイミングの差で回避されたり遭遇したりするものです。
実際、今回私がカタリナ島を訪れた翌日のほぼ同じ時間帯には、メトロA Lineで自動車が列車に衝突する事故があり、4人が病院に搬送され、乗客にはバスによる代行輸送が行われたニュースを後日知りました。
帰国したのは2月27日でしたが、翌日から国際情勢はまた緊張を増しました。世界の動きひとつで、国際フライトの空気も、空港の警備も一変します。世界規模では、毎日膨大な数(国内・国際便あわせて約19万)のフライトが運航されているわけですから、平常通りの安全運航はさまざまな調整と働きかけによってバランスを保っているのだと感じます。
というわけで、今回は2026年2月20日から27日にかけてロサンゼルスで体験した、公共交通を使った小さな旅について書いてみました。
車社会のイメージが強いロサンゼルスですが、実際に自分で乗ってみると、メトロやバスは思っていた以上に使いやすく、都市の変化も観察、感知できました。訪問者なので時間がかかり距離を踏んでも楽しめます。もちろん、時間帯や地域によって気をつけるべき点はありますが、それも含めて、その街の実像に少し近づけるのが公共交通の旅なのだと思います。
志麻ヒプノとは直接関係のない方でも、今回のトピックが何かしらお役に立てば幸いです!
番外・追記
LAを発つ日の前夜、朝方にかけてから奇妙な意識に入ったのか、とある存在がコンタクトしてくるという現象がありました。公共交通機関ではない手段で訪れたエンティティーと申しましょう(笑)



















