「?」の壁 って何のこと?
文字どおり「疑問符」の防壁です。
「?」は、質問、疑問、疑わしく感じること、などインプレッションは多少違いますが、それらを象徴します。
真面目で考え深い方ほど、昨今はさまざまなことに「?」を抱いて生活していることでしょう。
そもそも「人間は考える葦」ですから、考えを巡らし答えを導き出すとか、質問や疑問から発見や発想が湧いてくるための賢明なアプローチです。
そろそろ来年の事業について、すでに挙がっている構想をどう進めるか、はたまたチャンスと思しき話に乗ってよいものかと逡巡されているTさん。
Tさん「自分で言うのもなんですが、アイディアや閃きは多いほうです。しかも外からもチャンス話がきている。ただ、コロナ禍もあってか最近は慎重になって…動くスイッチが入れば、行動していけるんですが、途中で取引方と話が止まって動かないと、どうしようもないでしょう?」
どうやら、「途中で取引方と話が止まって動かない」ようにしている支点は、Tさんの方だと拝察しました。
Tさん「それもありますね。人付き合いや人脈もたくさんあるんですがね。決め手がないとノリだけで押していけないものでしょう?」
もっとも、敢行せぬまま先すぼみになったプランも、いつか繋がる可能性があり、後々の味付けになるかもしれませんが。
Tさんは、ご自身のことを話すときに、語尾が質問調になる傾向にありました。向かいにいる私に対してというより、何かに問うているような印象です。答えを教えてほしい、正解はなんだろう、という具合です。
Tさんのこの状況を阻んでいるものを、ライフコーチングのツールを用いてイメージしていただくと
Tさん「壁のようなものがあって、壁に向かって進んで乗り越えようとすると、壁が向こうに少し遠ざかりいつまでも目の前にある感じ。壁はフツウの壁。じらしているような、試しているような印象」
セッションを進めていくと、この「壁」は、何かを思いつき、やろうとすると登場するものでした。この壁の象徴するものは、「?」(疑問符)。自分自身に問うこともあれば、何か漠然と問うような「?」です。
この「?」が登場した背景には、Tさんの中期的に自信をなくしてしまっているエピソードがありました。
事業の成果に対して自信を感じなくなっているようですが、本質にはTさん自身の可能性に対して「?」がついてしまっています。
しばしばメンタルで言われる「自分を信頼してゆく」ことが、鈍ってしまわれたのでしょう。
信頼が失せてしまうと、自分が何を求めていけばいいのかがわからなくなっていくものです。
これは他者にも対しても、信頼を失った相手には何を求めたらいいかわからなくなるのと同じですね。
何を求めたらいいかわからないので、自分には可能性がいっぱいあることや、それぞれの可能性に対して疑問符が先に思い浮かぶようになります。
そして「?」が思い浮かぶたびに物事が滞りやすくなり、可能性が浮かんだとしても、そこに近づこうとすると壁や溝やらが発生し、進むべき道や前進を阻むようになるのです。
可能性に対して「?」を思うこと自体はわるくありません。ただ思った後に、可能性の存在や実現を信じる気持ちを、一旦上書きするとよいでしょう。
「実現し得る可能性」があることを信じるだけでよく、その可能性をあなたが実現するかしないかは、まったくの自由であることを思い出してみましょう。すると、可能性に対して自由になり、楽になります。
そして、自分が何を求めているのかを思い出しやすくなります。
可能性に「?」の壁は、こちらの押した力を吸収する働きがあり(衝撃吸収の壁のように)、可能性を疑問視したり検証しすぎると、多くのあなた(またはブレーン)のエネルギーを吸収します。「やってやろう!」という反骨精神や「やってみよう」というチャレンジパワーを吸収します。
尤も、思いついたアイディア、考え抜かれたもの、歳月を要した構想だけが可能性ではありません。「?」壁に対して、そもそも何を求めているのか?キモとしているのかを意識すると、未だ遭遇していないだけのあまたの可能性があることに気がつき、おおらかに動きを取れるようになるでしょう。
前進するもよし、判断がつくまで待つもよし、です。
そもそも、私たちの当たり前という日常は、可能性とすら気づいていない「可能性の連続」で織りなされているものです。