「タイミングが良いと嬉しい」
「タイミングに乗れたり、シンクロニシティ(共時性)に遭遇すると、うまくいっている気がする」
と感じることは、誰しも一度は経験したことがあるでしょう。
逆に、タイミングを外してしまったり、間が悪いことが続いたりすると、不安や焦りを感じることもあるでしょう。
このような状況では、「これから悪い方向に向かうのではないか」と心配になることも少なくありません。
私たちがタイミングの良さに特別な意味や期待感を抱くのはなぜでしょうか。
それは、シンクロニシティがもたらす心理的な効果が大きいからかもしれません。
シンクロニシティとは、因果関係のないはずの複数の事象が、意味のある関連を持って同時に起こるように認識される現象です。
これを体験すると、自分が大きな潮流に乗っているかのような高揚感や安堵感を感じることがあります。
タイミングとシンクロニシティの役割
精神分析や心理療法の領域では、シンクロニシティを治療法として患者さんの体験の統合プロセスに効果的に用いることができます。
一方、ニューエイジやスピリチュアルな文脈では、シンクロニシティが何かの予兆やサインとして受け取られることが多いです。
タイミングやシンクロの良し悪しは、人生がうまく運んでいるかどうかを判断する一つの目安として機能していることがあります。
実際、タイミングが悪いことを気にして相談に訪れる方も少なくありません。
しかし、厳密には「タイミング」という時間と事象の巡り合わせではなく、遭遇した体験そのものに問題があると感じている場合が多いのです。
ご本人にとって好ましくないことが、まさにそのタイミングで発生したということです。
また、自分が考えるタイミングに応じて、物事が連動して起こることを「シンクロニシティが起こっている」と解釈する傾向も見られます。
主観が生むタイミングとシンクロニシティ
タイミングやシンクロニシティは、私たちの日常の物事を判断する基準から観察されることが多いため、かなりの主観や思い込みが反映されやすいです。
主観は、自分の意思や立場を反映したものです。
タイミングが良いかどうか、シンクロニシティが起こったかどうかを判断する基準ともいえます。
さまざまな体験が自分にとって意味のある物語として認識される中で、タイミングやシンクロニシティは、その物語をより面白く、説得力のあるものにしてくれる要素となります。
例えば、タイミングが良いと感じるとき、それは自分の主観と日常の基準が一致しているときです。
この基準は、多くの場合、社会的な価値観や常識と共有されています。
シンクロニシティもまた、普段の物事の良し悪しや意味づけの基準に影響されており、それがシンクロとして認識されることがあります。
このようにタイミングやシンクロニシティが合致すると、気分が良くなるのも自然なことです。
ただし、タイミングやシンクロニシティは「個人」や社会の限られた関係の中でだけ連動しているわけではありません。
ユング心理学では、シンクロニシティは集合的無意識を通じて人間同士が交流していることを反映したプロセスだとされています。
さらに、精神的な視点から見ると、私たち人間だけでなく、他の生物や自然界、さらには宇宙全体とも無意識的に交流しているという考え方もあります。
言い換えれば、私たちは常にタイミングを合わせ、シンクロニシティの中に存在しているのです。
自分のタイミングを取り戻す
自分にとってタイミングが悪い、シンクロニシティに巡り合わないと感じるときは、この繋がりを感じられないか、概念的に離れているときです。
しかし、タイミングが良く、シンクロニシティを体験する時期もあります。これらは、自分が大きな流れと繋がって生きていると感じる時期でもあります。
自分の主観という視点から少し離れて広い視野で物事を見てみると、常にタイミングはうまく合っており、シンクロニシティは頻繁に起こっていることに気づくかもしれません。
例えば、ある時期にタイミングが悪いと感じた出来事が、後々になって絶妙なタイミングで役立つこともあります。
バラバラに見えた出来事が時間の流れの中でつながり、まるでパズルのピースが組み合わさるように、シンクロニシティとして形を成すことがあるのです。
「最適なタイミング」を見出す方法
日々の生活の中で「最適なタイミング」を見出すにはどうすればよいでしょうか。ここでは2つのアプローチを挙げたいと思います。
① すべてが「最適なタイミング」であると受け入れる
これは、「達観した意識の持ち主」の方にとって有効でしょう。
自由な発想を持ち、主体性を持って日々を過ごしている人にとって、この考え方は自然に受け入れられるでしょう。
仕事などのシステムの中で生きている人にとっても、この心構えを持つことで、一見したミスやトラブルも結果的には悪い方向に至らないことが多いようです。
② 自分が「最適なタイミング」を握っていると信じる
判断や決断に迷いやすい人、周囲の基準に従って生きている人にとっては、この考え方がベターです。
自分が決めたことが最善であると信じることで、自分に対する誠実さを保ち、周囲に対しても無礼にはならないものです。
①や②を心得ていると、ご自身にとってどういう調子であるとタイミングが合わなくなるのか、タイミングの良し悪しを左右する構造などが、垣間見れてくるかもしれません。
タイミングに関連し、ひとつエピソードをご紹介したいと思います。
Iさんの下半期リーディング中に、興味深いビジョンが浮かび上がりました。
Iさんの「オルターメジャー」のチャクラを視ると、オオカミ、ゾウ、蛙、とかげなど、文化や地域によって神聖視される動物たちが、多く存在していました。
しかし、これらの動物たちは活躍の機会を得ず、長い間待機状態にあったのです。
このビジョンは、Iさんが社会の中で生きることに価値を見出しつつも、「自然界における人類の意識」を十分に活用できていないことを示唆していました。
さらに、アクティベーションを流し始めると、Iさんの頭の中にカニの甲羅のワタの縁にあるふかふかしたプラスチックのようなものが詰まり、頭が狭くなっているイメージが浮かびました。
これは、Iさん自身が仕事から受ける多大な消耗を象徴するメタファーのようでした。
Iさんは、難しい仕事を抱え込み、リフレッシュする機会がないため、エネルギーが滞っていたのでしょう。
しかし、エネルギーが十分流れるにつれて、そのふかふかした部分は徐々に消えていきました。
その後、Iさんから報告をいただきました。
「翌日、お肌がなぜかツヤツヤふっくらしました(笑)。何かを変えたい、変える時は、きっと自分で最適なタイミングがわかると信じて、日々丁寧に生きていこうと思いました」
ご自分自身が最適なタイミングを見極める力を持っていることを再確認されたのでしょう。
ちなみに、Iさんから「どうでもいいのですが、カニの食べられない部分は『ガニ』と呼ばれるエラだそうです。雑菌が多く腐りやすいので食べない方が良いとのことです」との情報も添えていただきました。
画像「最北の海鮮市場」さんより
皆さん、「蟹は食ってもガニ食うな」という慣用句をご存知でしょうか。
(「中村商店」さん)
タイミングについては様々な見解がありますが、幾つかは、私たちの人生を時間の制限から解放するヒントになるでしょう。
日々の生活の中で、少しでも役立つ考え方や視座となれば幸いです。
自分自身が最適なタイミングを作り出し、その流れに乗って生きていくことで、より充実した人生を送ることができそうですね。
途中で蟹に話が流れたのもタイミングかもしれません。笑