感情や人間関係にまつわる悩みは、とかく「誰かのせい」という構図の中で、より深刻になってしまう傾向があります。
セラピーを受けたり、内観をしたりする方、あるいはスピリチュアルが好きな方は、この「誰かのせい」を自分自身に向けることがとても多いように感じます。
必ずしも、自分がネガティブな原因をつくったとか、自分に非があると考えて、自責の念にかられているとは限りません。むしろ、ある出来事や人間関係に、自分が大いに関与していたり、影響を与えてしまっていたりするものと捉え、必要以上に難しい問題として扱いがちです。
実際には当事者でなくても、自分自身のフレームの中では関わりのあることだと考えます。その問題に見える出来事や人間関係において、自分は何か良い働きをすべきなのではないか。あるいは、うまくいかなかったことや揉め事が起きたのは、自分のせいではないのか。
このように、自ら責任のある役割に立って、状況を観察します。そのとき、自分以外の誰かや何らかの事情についても、それらが原因であり、影響力を持つものだと考えがちになります。
そんなとき、ご本人はむしろ客観的に全体を眺め、関わりのある相手や周囲の人たちの心の中まで推測しようと頑張っています。
確かに、誰かや何か――仕事、状況、さまざまな事情――の影響によって、事態は進展していきます。しかし、そのつながりを正確に見いだすことは難しいでしょう。
「何かのせい」というよりも、「誰かのせい」には感情や強い主観が入り込みます。そのため、「誰かのせい」というマインドに入ると、知らぬ間に見方や解釈が自己中心的なものに限定されていきます。
主となる誰かがいるとしても、そこにこだわるほど、その人を責めたり非難したりするエネルギーが強くなり、現実的に状況を変えるための考えや発想が鈍くなります。
また、「誰かのせい」は不特定多数の人々の間でも起こります。その思いが強くなるほど、破壊する、燃やすといった、感情を煽る方向へ傾きやすいものです。
他者と直接関わりがなくても、自分の仕事やミッションに没頭しすぎた結果、本来は不可抗力で起こったようなことにまで「自分のせいだ」というストーリーをつくり、自身を追い込むパターンもあります。
下半期リーディングを受けられた、専門性の高い仕事をしているAさん。自信もプライドも、そして実績もあります。
素材の都合で想定どおりにいかないとき、店舗の従業員たちや家族の態度、反応についても、自分のせいではないかと気を巡らせるようになりました。
潜在的なパワー、いわば「馬力」に関するリーディングでしたが、Aさんからは二つの前世が出てきました。
一つは、自分が築き上げたものを、些細な事件から自分に非があると思い込んで自暴自棄になり、自ら破壊し、燃やしてしまった前世です。
もう一つは、権力者らしき人物の指示によって陰謀論をつくり上げ、街中に広める役を引き受けていたという前世でした。
それらにどのような解釈をつけるかは、蛇足のように感じます。
ただ、そこには「誰かのせい」という構図がつくり出すトラップが見えるのです。
家族間では、家族のなかの誰かの病気や失業、成績、態度などについて、「誰かのせい」の構図を思い描きやすくなります。
家族的な職場、チームやメンバーのなかでも、心のなかで「誰かのせい」は起こりやすいようです。
「誰かのせい」という考え方は、知性という点では少し幼いものです。
子どもたちは、ある時期になると自我が芽生え、自分を主張するために「誰かのせい」と言ったりします。それも、大人や周囲の人たちのまねをしていることが少なくありません。
大人でも子供でも、関係や場が狭く、あるいは濃すぎるときに、陥りやすい傾向があります。
とかく苦境を逃れるためのマインドの手法として、「誰かのせい」という発想や発言は、さまざまな物語や社会構造の中にも見られます。
「誰かのせい」の規模が大きくなり、長期化すると、その扱いは難しくなります。
しかし、個人的に「誰かのせい」というマインドに入っているときは、案外、自分の中に「他人のことに首を突っ込みすぎる」という隠れた癖があることに気づくものです。
それが跳ね返り、別の条件のもとでは「自分のせい」へと向かうようです。
責任問題に関わる「誰かのせい」は、とかく、原因を誰か一人、あるいは一部の人たちにまで絞り込んでしまいます。しかし、「誰かのせい」に思えるものを一人に集中させず、原因を分散して捉えたり、関わりの範囲を広げたりしたほうが、本来見えてくるはずの実情は、分かりやすく、受け入れやすいものになるのかもしれません。
ちなみに、「National Blame Someone Else Day(他人のせいにしてもいい日)」というアメリカで始まった日があります。非公式な記念日ですが、毎年「その年で最初の13日の金曜日」に設定されており、次回は2027年8月13日とのことです!






















