厳しい経験が続くことを「修行」と表現することがあります。
時には、周囲から強いられる苦行であったり、自ら設定した目標に向かって努力し、試練を乗り越える過程を指します。
例えば、半ば自虐的に「これは修行だと思って頑張ります」と言ったり、厳しい状況に直面したときに「どうしてこんなことが続くのでしょう…これは何かの修行なのでしょうか?」と考えたりすることもあるでしょう。
日本文化の中で、宗教的な意味を持つ「修行」という言葉は、仏教の教えに基づく心身の浄化を象徴しており、必ずしも仏教徒でなくとも、多くの人に受け入れられています。
苦しい経験を経て悟りに至る、そんなイメージを抱くことが多いのです。
登山がレジャーであっても、山頂までの険しい道のりを「修行」に例えたり、趣味や習い事を通じて技術を磨くことを「修行」と表現したりすることがあります。
また、ゲームでノルマを達成する過程を「修行」として楽しむこともあります。
あなた自身にも、今「修行」や「修行のような体験」はありますか?
実は、セラピーやカウンセリングの場でご相談の対象となるテーマの中にも、クライアントさんにとっての「修行」に相当するものが存在します。
例えば、病気や、その回復に向けた厳しい治療です。病いそのものが身体的にも精神的にも苦痛を伴い、治療の副作用や予期しない身体反応が、さらに試練を重ねることがあります。
病名が重いものであれば、それだけで生活や将来に暗い影を落とし、まるで修行のような日々が広がることもあります。
ご相談されるほどのクライアントさん方は、前向きで積極的な姿勢を持ち、そうした「修行」に立ち向かいます。
Aさんは検査で病気が発見されたとき、ショックと不安でいっぱいで混乱した心境だったそうです。
家族や医療チームとも話し合い、治療を進める決意をしました。
しかし、治療の過程では不安が消えることはなく、途中での予期しないトラブルもあり、続けることへの迷いが生じます。
Aさん「この治療、本当に必要なのでしょうか。やめたい気持ちもありますが、ここで止めると今までの努力が無駄になりそうで…」
現代の医療は、個人の希望や身体的な状況を考慮しつつも、データや研究に基づいた方針が優先されることが多いです。
そんな中、Aさんもこう感じました。
「この病気や治療は、私の人生における修行なのでしょうか。なんでこんな試練を受けなければならないのでしょう…」
正直で率直な言葉だと感じます。
Aさんの言葉の背後にあるエネルギーを読み取ると、彼女が経験している病や治療は、実は「修行の本質」ではないという感覚が浮かび上がってきました。
身体や心が感じている苦痛は、修行のコアに至るまでの「物語」やディテールにすぎないという意味です。
もしAさんの現状をドラマに例えるなら、病との闘いはストーリーのあらすじの一部であり、Aさんの人生のが主題ではない、ということでしょう。
それでは、Aさんにとっての修行のコアとは何なのでしょうか。
さらにエネルギーを読み解くと、
「先のわからないことに”覚悟”を持って挑むこと」と・・・それがAさんの修行のコアだ、というようなニュアンスが出てきました。
(注:エネルギーを読むと、言語するほどの限定的な強さはないものです)
たとえば、未来への不安や予測にとらわれているとき、この“覚悟”は働きません。
Aさんとは15年以上のご縁になります。Aさんは、安全志向なほうで、堅実な人生を歩んでいらっしゃいます。
その結果、さまざまな課題に直面しても、それを乗り越え、前向きに進んできました。
しかし、今はその一見すると堅実でうまくゆく生き方から一歩離れ、「瞬間を生きる」という新たな挑戦に取り組んでいるように感じます。
奇跡や大きな力が発揮されるとき、私たちは後先のことを考える余裕はありません。
実態は定かではありませんが、エネルギーの強い集中が生まれる瞬間にこそ、具現化する現象が起こるようです。日常の平穏さの中で奇跡が起こりにくいのは、日常には覚悟を求められる場面が少ないからかもしれません。
Aさんは、やがてこの修行の本質を乗り越えていかれることでしょう。
私たちの日常でも、「修行」と感じることは数多くありますね。
仕事、勉強、複雑な人間関係、トレーニングなど、さまざまな場面で「修行」と呼ぶことができるものがありますが、そのシビアな業のコアが理解できれば、経験の質や意義が大きく変わる可能性があります。
誤認識や固定観念が解け、修行との関わり方が変わることで、ある種の厳しさが和らぎます。身体的な修行と思っていることなら、反応も変わることがあります。
ちなみに、その修行のコアや意義がわからない、などという時期も、修行の本質が示唆しているポイントなのかもしれません。
あなたにとっての修行のコア=修行がわかると、エネルギーは本来の自然な流れに向かって整っていくようです。
今、修行らしき取り組みをされている方のご参考となれば幸いです。