富士登山競走は、毎年7月末に開催される、富士山を駆け上がるという異様に過酷な山岳レースです。
いわゆる「日本一くだらないレース」(※下りがなく、ずっと上り)です。
1948年から始まり、今年でなんと78回目という歴史ある大会。毎年7月末の金曜日に開催されるのが恒例。
さて、いざ!今回は「5合目コース」に初挑戦して参りました!
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山頂コース:富士吉田市役所から富士山頂(久須志神社)まで、約21km、標高差約3,000m
五合目コース:富士吉田市役所から富士山五合目まで、約15km、標高差約1,500m
▲〈オフィシャルサイトより〉
4月から3ヶ月間の脚の不調&練習不足だったため、7月上旬には「DNS(Do Not Start)かも…」と弱気になっていました。が、12日前に駆け込み試走したところ、なんとか関門に間に合いそうだと判断。
覚悟を決めて現地入り!
今回は前泊。新宿から河口湖へ移動し、車窓からは富士山がきれいに観え…
からの… ホテルのお部屋からもばっちり富士山を望めて、厳かにテンション上がります。
ホテルで出会ったランナーさんたちは、山頂コースを連戦している猛者が多かったです。
翌朝、山頂コースは7時スタート、5合目コースは8時30分スタートなので、夜9時にはおやすみなさい。
走っている夢を見たような…?そんな気がしながら4時半に起床。
窓の外を見ると、山頂コースのランナーたちが5時すぎには会場に向かっていました。
私たち5合目組は、7時すぎに送迎バスでスタート地点の富士吉田市役所へ向かいます。
7時40分、市役所周辺をジョグしているランナーの姿も。来年、山頂コースに出るには、今年5合目を2時間20分以内でゴールする必要があるので、皆さん気合い本気モードです。
「緑色の袋」には五合目で受け取る荷物を、「透明の袋」には下山後に受け取る荷物をそれぞれ入れて、預けます。
初参加につきイマイチ状況が掴めていないところ、ボランティアさんのほうから荷物を受け取りに来てくださるというホスピタリティ。
スタート前、少し緊張した面持ちですかね、富士山が描かれた2021年の東京マラソンTシャツ。
気温は27℃ほど。すでに日差しがジリジリと暑い!
救護センターも充実していて安心。
8時10分から開会式がスタート。
市長さんのご挨拶には手話通訳もあり、救護ランナー代表の方から「ゴールの後には、別のあなたになっています!」という熱いスピーチ!気温とともに、会場の熱気も高まります。
市役所の職員さんたちも、窓から手を振って応援してくださっています。
昭和の「エイ、エイ、オォーー!」✖️3 で、いよいよスタート1分前。
ちなみに、女子ランナーは1割弱。走力に関係なく前方に整列させてもらえるようですが、スタート後には豪速ランナーたちが次々に追い抜いていきます。
市役所からは、2.8kmほどの登り坂が続きます。序盤から日差しが強く、呼吸も早くなってきました。
富士浅間神社のあたりからは日陰に入り、少しだけひんやり涼しさも感じられます。斜度は増します。
最初の給水ポイントでは、カップの水を首や腕にかけて、体を冷却。とにかく「歩かずに走る!」を意識して、【中の茶屋】を目指します。
中の茶屋に到着。
ここでは、頭から柄杓で水をぶっかけていただきました!
くし切りレモンが甘く感じられ、冷たいブルーベリーのエイドもシャキッと目を覚ましてくれます。
ここから【馬返し】までは、一気に斜度アップ。脚というより、練習不足が呼吸をキツくします。ゼーハーまではいかないものの、体がだんだん重くなってきます。
「あと800mで給水だよ、がんばって!」の声援に、とりあえず前へ進むパワーが湧いてきました。ただし、反応を返す余裕はゼロ m(_ _)m
幸い、苦しい坂の途中で、車を止めた女性がトランクから氷を取り出し、私設エイドを開いてくださり早速受け取りました。天使…対応です!おかげで馬返しまでたどり着けました。
馬返しの関門時刻は10時30分。まだ30分ほど余裕あり!
フレッシュなオレンジが最高に美味しい。すでに使用済みのプラカップが大量ということは山頂コースと、5合目走者の駆け抜けた後ですね。
いよいよロードから山道へ。走るというよりは、ほぼトレイル。とはいえ、5合目までのコースは登山道としてしっかり整備されており、比較的進みやすい印象です。
登山やトレイルをしている方々が道を譲ってくれたり、声をかけてくださるのが、とても励みになります。
試走のおかげか、山道の方がロードよりも脚がラクに動く!
ちなみに試走のときは、野生の鹿さんと遭遇!じーっと見つめてくるのが、富士山の鹿の特徴かもしれません。以前、富士山2合目あたりでもバッタリ出会ったことがあります。
3合目、最後の給水ポイントでは、ボーイスカウトのみなさんがボランティアに。持参していたフラスク(250ml)に水を追加してもらいました。
鹿さんのことを思い出しつつも、5合目のゴールを目指します。
ところが、残り1kmを切ったあたりから様子が一変。脚を攣ってしゃがみ込むランナー、無線で連絡を取る救護スタッフ、意識はあるけど足が動かないランナーなど、倒れる人が増えてきました。
段差がある山道、標高の高さ、気温…いろいろな要因が重なって、体調に変化が出るようです。
私は脚が攣ることはありませんでしたが、予防としてフラスクの水にマグオン(マグネシウム)を溶かしておきました。
しかし、私も一度よろめいて、すねを軽く打ちました!咄嗟に両手をついたのでケガはなし。集中力、大事です!
そうこうするうちに、最後の坂を登りきったら、5合目ゴールの佐藤小屋が目前!
何度か水をかぶり、大汗をかきながらも、無事フィニッシュ!
上から撮ってもらうと、「ほんとに下から登ってきたんだなぁ」と実感できます。
ゴール後は余韻を味わいつつ、吉田口方面へ15分ほど歩きます。
途中、北富士駐屯地の自衛隊の方々が水とアミノバイタルをエイドしてくださいました。
この水タワーからカップを取る勇気はないでしょう(笑)
「ふじさんの水」を積んだ特別な給水車とのこと!
ボランティアさんは遠くからゼッケン番号を読み取って、すぐに荷物を手渡してくださるという神対応。
雲上閣(レストハウス)の3階で着替え。
北麓公園までのバスもすぐに乗車でき、移動中は、山頂コースから下山してきた「今回13回目」という猛者と隣席に。次元の違う話に圧倒されつつ、学びあり、シビアな話に盛り上がりました。
何より、走り終えたランナーさんたち、とりあえず、みんな「いい人?」になっているように感じます(笑)
北麓運動公園で大きな荷物を受け取り、芝生でまったりひと息。そして帰路へ。
まとめると、さすが歴史ある大会という印象。運営はスムーズで、ボランティアやスタッフの皆さんの連携も素晴らしく、安全に、そして楽しく完走することができました。
承知の上の猛暑ではありましたが、お天気も穏やかで、美しい夏富士の景観を眺めながら、疲労とともに記憶に残る最高の一日です。
第78回 富士登山競走☆ありがとうございました!