丁寧に暮らす、と聞いて、皆さんはどのような生活ぶりをイメージされるでしょうか。
ゆとりや情緒が感じられる暮らし、何かに追われず、時間や数字に縛られない過ごし方でしょうか。
それとも、片付けが行き届き、家の中がいつも清潔で整えられている姿を思い浮かべるでしょうか。
もちろん、きめ細やかな印象は受けますが、丁寧さには「安心させたり、不快にさせない」という要素が大きいように思います。
気配り、という言葉にも通じるかもしれません。定義はともかくとして、私たちにとって“ふだん丁寧に暮らす”ことは、多くの場合、エネルギーや活力につながっているのではないでしょうか。
その活力は、癒しや滋養、ひらめき、行動力、愛情、家族や仲間・他者とのコミュニケーション、あるいはキャリアなど、さまざまな面に広がっていきます。
そこには、豊かさにつながるワクワク感や、安心につながる感謝の気持ちも含まれています。
年始のイヤーリーディングでのテーマは「巳年にちなんだ脱皮による成長」でした。
しかし興味深いことに、「成長や前向きな行動を急がなくていい」という方もいれば、「2025年の上半期はまったり、のんびり過ごしてみては?」と提案されるような情報を受け取る方もいらっしゃいました。
前者の方は、前年から大きく人生スタイルを変え、新しい暮らしにゆっくりとシフトしている段階です。
ご本人は「新生活に合うキャリアを探し、指針となるものを早く見つけたい」と意欲的でしたが、実際は「少し休んで暮らしに慣れ、今までの自分をいたわる時期」がふさわしかったようです。
一方、後者は仕事と家庭の両立を目指し、常々努力を重ねてきた方でした。
意気込み通りにいかないこともありましたが、今の生活を「丁寧に味わう」ことで、これまでのご自分に対するねぎらいと、周囲への感謝を感じる時間を示唆されているようです。
たとえば、職場の異動や上司のひと言がきっかけで不安になり、転職やキャリアチェンジを考え始めることもあるでしょう。
Hさんは、勤務先の今後の方針が気になり、「このままでいいのだろうか」「自分に合ったキャリアが他にあるのではないか」と少し落ち着かない気持ちになっていました。
透視で拝見すると、Hさんが懸念するような大きな変化は、職場にもご自身のキャリアプランにも視えませんでした。
むしろ、ご家族といっしょに過ごす時間や、家でのリラックス、レジャーにこそエネルギーの源があり、Hさんが求めているのは「丁寧に暮らす」ことからくるような安心感の可能性がありました。
忙しい毎日を送っているほど、いきなり何かの“問題”が発生し、否応なく立ち止まらざるを得ない状況になることがあります。
家族や生活、怪我や病気、社会的な問題、経済的に困窮する事態など、誰にとっても「まさか」と思うような出来事です。
部外者から見れば「お気の毒なこと」ですが、当の本人は「なんで自分がこんな目に」「なぜこんな問題が降りかかるのか」と、驚きとやるせなさを感じるでしょう。
それは当然のリアクションです!
ただ、もしかすると、それまでに「そろそろ立ち止まったほうがいい」という兆しが何度かあったかもしれません。
忙しさや諸事情で見逃していたのかもしれません。
結果的に、ご自身にとって人生の本質的な流れを変える最も近道の方法として、“問題”という形で大きくブレーキを踏まされるようです。
たとえば、家族がちゃんと生活できるために、と常にがんばってこられたAさん。
ある日、突然の体調不良に見舞われました。突然という点も、大きなショックだったようです。
当初、非常に混乱し慌てておられましたが、適正のあう治療、ご家族、特にお子さんたちの協力があって、無事にリハビリを終え、日常に復帰されました。はじめは「家族に迷惑をかけたくない」「自分が休むなんて申し訳ない」と思う気持ちがお強かったのですが(それは体調からの影響も否めないでしょう)、結果的に家族で助け合う機会が増え、愛情や絆がより深まる経験になったのです。
Aさんにとっては、「家族や人に頼るのも大切」「自分自身を最優先することが、実は家族にとっても大事だった」という気づきにつながるものでしょう。
新たに“丁寧に暮らす”ことを実践されているようです。
ときには、自分ではコントロールできないほど不思議なタイミングで、通常運転を止めざるを得ないこともあります。
丁寧に暮らすとは、比喩的に「足元をちゃんと見て暮らす」こと。つまずかないように気を配りながら、地に足をつけた生き方をする姿勢とも言えるでしょう。
つい、それをおろそかにしていると、不調を慢性化してしまうこともあります。また、人によっては周囲の丁寧ではない態度に巻き込まれ、ストレスを受けることもあります。
そうした負荷が積み重なると、生活全般や経済面にまで影響を及ぼしかねません。
とはいえ、どんなに気をつけて暮らしていても予想外の出来事は起こります。
丁寧に、あるいは几帳面に暮らしてきた人ほど、そんなとき「こんなに自分はちゃんとしてきたのに!」とショックを受けるかもしれませんが、それはある意味、次のエスピリの効いたステージへ変容するチャンスなのかもしれません。
大きな問題とまではいかなくとも、家電の故障などの小さなトラブルでも、「丁寧に暮らす」というヒントがやって来ることがあります。
長年使っていた炊飯器が突然壊れたことで、防災グッズを引っ張りだして保存食を試すきっかけになったり、土鍋でご飯を炊くチャレンジをするかもしれません。
以前うちでも、お風呂の給湯器の交換で数日お風呂に入れないとき、地元の商店街に鎮座する銭湯!にはじめてお世話になりました。笑
というわけで、もし「丁寧な暮らしが身についていないかも」と感じているのなら、何かひとつ、小さなことから意識してみてはいかがでしょう。
普段の暮らしの中に、あなた自身に合った“丁寧”を取り戻し、そこから得られる活力や豊かさをぜひ受け取ってみましょう。
思いのほか、新しい自分の反応や、大切な人への感謝に気づくきっかけが見つかるはずです。
ちなみに、英語で「丁寧に暮らす」とは、 Mindful Living(マインドフル・リビング)と言うようです。オーガニックな暮らしの方は、Orgaic Life でしょうか・・・