医療業界で「バイポーラ」といえば、電気メス、双極性障害(躁鬱病)などを連想するかもしれません。
思考や意識のパターンにおいては、対極、両極性のある状態を「バイポーラ」と呼ばれることが多いです。電流が流れるように、バイポーラの思考や意識状態は、対極的な性質を往来します。
願望と失望、幸福と不幸、豊かと貧しい などなど….
時間軸においては、「過去」と認識する感情のなかにバイポーラの構造は創られます。
未来にもバイポーラを創ることはできますが、過去に比べて不確定要素が多いため、バイ(2つ)の要因というよりも選択肢が広がります。
過去に閉じ込められたバイポーラの思考や意識は、狭く、暗くなりがちです。逆に、バイポーラによって過去と認識する出来事等も、暗く鬱々としたものに捉えがちになります。
たとえば、過去にあったと認識する出来事を思い返し、窮屈で悲しみや怒りなどを感じるときは、その出来事について無意識にバイポーラの公式を当てはめている可能性があります。
未来について不安や恐れを感じるときは、いつの間にか過去を引き合いに並べて憶測しているかもしれないのです。
バイポーラによって考えること、事実であったと認識することは、ほとんどの場合真実ではなく、さまざまな出来事のパーツや感性によって創造的に認識しているものです。
仮にまったく同じ出来事が起こったとして、真実でとらえるとき、私たちはそれについて辛がったり不安や恐れを抱くことはないようです。しかし、真実や真相に至るプロセスにおいて、しばしば辛さや苦しさなどを経ていることはつきものです。
Sさん「最近になってバイポーラ的に思い込んでいることに、やっと思い当たるようになりました。お風呂に入っているとき、ハッと気がついて抜け出せることがあります。でも、また暫くするとジャッジが働いて、こうでなければ嫌だ!と葛藤が起こります」
とかく、リラックスしたり、のんびり穏やかなときは、同じ人、同じ状況についても、バイポーラから自由に解放されやすいものです。
ストレスや緊張感が高まると、ふだんはニュートラルな方でも、バイポーラの枠にハマることがあります。
Sさん「いいかげん、このバイポーラから抜け出したいのですが… そう考えることもバイポーラですよね?」
確かに!そう言えるかもしれません。
バイポーラは、ひとつの見立てた状態ですし、人それぞれ、バイポーラの働きや影響も異なるでしょう。
そこでSさんにとってのバイポーラの構造を体験していただきました。
Sさん「棘の伸びた薔薇、イバラ?の蔓に巻かれてます…おどぎ話にでてくる魔法使いの魔法か何かでイバラを巻かれ身動きが取れません。痛いです」
イメージ下の体験はリアルでありながら、ご自身を俯瞰する気づきも起こります。そのバイポーラの影響を強めたり、どんな遍歴があるのかを探ります。
Sさん「バイポーラが強くなると、棘が肉に食い込んで余計に痛いし、決して死なないのですがどんどん苦しくなります。なぜか、誰も助け出してくれない感じがします。ヤケになって….自暴自棄で、体が風船のように膨れてきました。
(バイポーラから解放される許可を下すと)
Sさん「一瞬で、イバラが消えました!本当に一瞬で。何かから〈夢から醒めたかね?〉と言われている気がします」
メタファという隠喩的な体験から戻られると、ご自身でも合点がゆくことがあるようです。
Sさん「確かにあれか、これか、というバイポーラにハマると、身体が浮腫んで…食べすぎるのもありますが… パンツのゴムがお腹に喰い込んで痛いときがあります(笑)
〈夢から醒めたかね?〉は、自分的にはシュールなことです。あれこれと、前にあったことばかり考えて振り回されていることが…〈夢〉なんですよね?」
バイポーラから解放されると、それまでそこに費やしてきたエネルギー(気力、体力、時間など)がご自身に戻ってくるため、明るさや元気さを取り戻せます。しかも早々に。
一般的には過去や未来は、現在に対してリアリティのある現実世界を象徴していると思われていますが、これもひとつの概念、ある次元におけるメジャーなルールです。
この惑星、地球には、さまざまな民族や歴史から派生する人々がいますので、直線的な時間が当たり前ではない意識、思考、人生観に生きている人類も多いと思われます。
とはいえ、現在の日本を含む先進諸国に生きているなら、私たちは過去とバイポーラの公式に影響を受けやすいかもしれません。
「過去」について思い返すとき、暗く落ち込むような感覚や感情があるなら、バイポーラの公式が創り出している〈夢〉から醒めてみるとよさそうです。
はて、どちらが〈夢〉なのか?
〈夢〉から抜け出せない?!
という場合には、そもそもどちらも〈夢〉の如く創造的な意識世界であり、好ましいほうを現実として具現化してよい、と言えるでしょう。
いわゆる「見えている世界は自分が創造している」というクリシェ(常套句)です。*言うは易しですが(笑)