「虚しい(むなしい)」とは漢字で「空い」とも書きますが、「魂や心が抜けて体が空っぽになっているような」状態を感じ、表現しているものです。
誰しも、大人に近づくにつれ、何かの弾みに「虚しいなぁ」と感じたり言葉にした経験はないでしょうか。あまり深刻でないレベルかもしれないし、かなり鬱々として参っていたときかもしれません。
昨年から今年(新春)にかけて
「ときどきなんだか虚しいと感じることありますよ」
「今は落ち着きましたが、ひと頃はやたらに虚しくて、生きている意味があるのか?と真面目に考えこんだ時期がありました」
というお声をセッション中にお伺いしました。
もちろん、ただ今の新型コロナウィルスの情勢や、報道により不安や恐れが増幅して…というわかりやすい影響もあるでしょう。
ところで、虚しいままの状態がずいぶん長くなると、やはりしんどく、生命力が弱くなってしまいますが。
しかし、「虚しいなぁ」と感じるのは精神的に進化(または成長)する入り口の場合があります。
マインドや感情など、自分で認識する考えや思いがどんどん積もって、まるで心の周囲の皮がぶ厚くなると、自分自身の中核の本心や魂とも呼ばれる部分が鈍くなります。鈍くなると、自分が鈍っていることにまず気づきません(笑)
禅問答のようですが、「自分は鈍い」と感じているなら、それは如何程に鈍いか程度は別として、感知している部分があるわけで、鈍くはないでしょう。鈍くなると、異常を感じず、鈍いのに冴えていると信じこんだりもします。そのままの鈍さで差し支えないレベルであればよいでしょうが、本人に気づかせるサインとして「なんだか虚しいな」という感覚を起こさせることがあるのです。*(本文最後の補足あり)
虚しさを感じる具体的な出来事があれば、それがスイッチになったのでしょう。
虚しさは、満たすこと、充足・充実すること、虚しくさせている何かをやめさせること、などを促しています。
Tさん「好きなことをやったらいいというので、いろいろやってみました。でも、しばらくすると本当にそれ私がやりたいことなのかな、と虚しく思えてきて。本当に楽しい、好きなことなのかな?どうなんでしょう」
他人に話すとなんだか贅沢な悩みにように聞こえるかもしれませんが、このような感覚のTさん自身は、ほかの日常や日々の多くの時間を費やしている活動やお仕事などに、虚しさに通じる無理が蓄積している可能性がありました。
Kさん「芸能人の〇〇さんが自死したことが、意外に引きずりました。ネットニュースやSNSを読み過ぎたせいかもしれません。特に〇〇さんのファンではなかったんですが、自分もなんのために頑張って生きているのかな、と考えて。
結局、いつかもっと良い暮らしをしたいという考えをもっても、それがいつかわからないし…..自粛期間だから、家の中や自分の生活をもっと良いものにしようと真剣に思いました」
Kさんは、外側の世界からご自身のことを眺めるような生き方から、内側から人生観を感じはじめ、本意に従う暮らしに変えていくようでした。
子育てで忙しいなかイヤーリーディングにいらしたSさん。
リーディングの設問の中には「今年の精神的な進化」という項目があるのですが、Sさんのエネルギーを読ませていただくと、「一家心中」というワードと、ほの暗い部屋のなかで、自分や家族や身近な物ことに対して虚しくなっている映像が視えてきました。
この「一家心中」とは、昭和前中盤の悲壮感を連想するドラマチックな様相で、それだけ意識が狭くなってしまっている様子でもあります。これは、けして一家心中の未来を予見しているものではありません。今まで自分が大事だと信じてがんばってきたことに対しての虚しさや、ご自分の盲点に気付いてしまうだろう、というメッセージ的な「絵」です。
本来、Sさんの強さや頑張りや行動力をもってすれば、このような虚しさを味わうことが人生で必要なのか?とも感じられました。基本的にリーディング中に現れることは、なんらかの必要性があるメッセージやヒントです。
今年、近いうちに、Sさんがご自分の虚しくさせている何かを直視することで本当の強さや本物の何か、幸せや実感を伴うものがわかっていくのでは、という印象でした。
Sさん「そうなんですよ!ときどき虚しいなと思うことがあります。急にコロナで亡くなった有名人とか、今までいろいろ為してきた人たちも死んでしまえばそこで終わりだなと思うと虚しく思うんですよ」と。
死んでしまったらすべて終わり、然るべきカタチの終わりがきたら虚しいという価値観は、結果に対する期待が強すぎる人の心に多く見られます。結果がすべて、と結果に集中し強靭さを引き出す原動力になる一方で、虚しさという危うさが潜んでいます。
また、常々、周囲から見た自分の姿を整えることが重要である、と価値観のなかで生きてきた人の特徴でもあります。
これらも、いわゆる自由な氣風の「風の時代」とともに薄らいでいくでしょう。
虚しさは「無意味だった」という心情や「空っぽ」な状態。
「無意味だった」「実態や中身がない」と虚しく感じるようなときは、自分の中の嘘、偽りを炙り出していきましょう。
そもそも宇宙には嘘も偽りもないのですが、自分にとっての嘘や偽りがあるときは、大義名分が優先したり、本意でないまま形を成したり、他人や情報などの影響を無意味に受けているようなときが多いです。それらを昇華すると、自分が戻ってきた感覚になるでしょう。嘘や偽りは、曇りや鈍りや錆びつきです。
「心身ともに疲れた(エネルギーが空っぽ)」ような空っぽの状態を感じているなら、あなたなりの充電がすぐに必要です!肉体に栄養が十分でないとか、勉強や頭の働きをよくするような知性が枯渇しているか、運動能力・身体能力が固まっているか、笑ったり楽しんだり遊ぶようなゆとりが過度に不足しているのかもしれません。
何より、虚しさは、あなたにとって大切な「愛」を忘れています!生きるための「愛」です。愛はあなたにとって大切なものを気づかせ、愛が薄らいでくると、さして大事でないものを大切だと勘違いしはじめるようです。
そして、(「愛」のワードで急に話は飛躍しますが 笑)虚しさを乗り越えて、潤い満たされてみると、虚しかった頃に比べて精神的に進化していると、気づくでしょう。
*ちなみに、先の「自分は鈍い」と感じていない鈍さがヤバいという事例をあげると、自分は調子がいいと思っているときに怪我をしたり体調を崩す、といった具合です。予め気づけたら防げます。しかし、なんらかの方法で教えてくれるので、それも人生の経験と捉えて、私は良いと思います。だんだん学習しますよね。