現代社会において、自分が中流層あたりであろう*・・・と考える人々は「バランスを取る」「均衡を保つ」ことが落ち着き、安定し、正当だと考えるようです。(*自己判定による)
不本意にバランスを欠くような「不均衡」な状態、不平等などは、社会や人間の権利として望ましくないと考えます。
状況によっては正論ですが、それは適った試しのない「絵に描いた何か」なのかもしれません。
なぜなら、均衡か不均衡か、平等か不平等かを常に対比しながらの主張のために、自然界のナチュラルなルールでは割り切れないためです。
とかく狭い意識で過ごしていると、不均衡やバランスを欠いた状態は、不安定で不利な構造に捉えがちです。
一方、芸術、創造的な領域では、趣向や時代の流行はあるものの、不均衡やアンバランスは表現の一つとして対等な表象です。
また、人の心理において幸福と結びつくものには、安定な要素、不安定な要素、はたまた、先行きがわかっていること(確定要因)、先行きがわからないこと(不確定要因)、いずれも大切です。
すべてが安定し、すべての未来がわかっていたら?
またその逆も然りですね。
悩みに深さがあるとして、比較的表層な意識(マインド・思考)で悩むときは、その問題や悩みのバランスを取ろう、均衡を正そうとする傾向にあるようです。
人間関係、お金など経済的なこと、仕事や活動などの取り組み、習慣や行動…. それらを、ご自身のなかで思い描いているバランスや比率の合う状態に持っていこうと、苦悶しがちになります。
あるいは、自分自身の思い描きではなく、漠然と周りから影響を被っているバランスや理想から外れてしまっていることに、苦悩していることも少なくありません。
現代、外からのマス情報な時代では、後者が殆どです。
一見、バランスが取れて、理想的であろうと思う着地点は、社会に生きる人間をも含む「自然界の法則」からみると、まるで実験室や研究室のなかのシミュレーションで実験結果や物事を処理している構造になっています。
実験室や研究室に於いては、それは限定的な条件で限定的な結果を人為的に試しているので問題ありませんが、リアルに存在する人間であれば、それは不自然なことになります。
リアルには不確定要素がはるかに溢れており、現実は不確定要素の中/上(?)に成り立っていることがおおいに忘れられています。
私たちが想定する以上に、カオスという宇宙状態のなかに、頑張って安定や均衡を捻出している可能性が高いようです。
このカオスは、戦争や災害に連想するような悲惨なものではなく、包括的で、肯定も否定も超越するカオスです。
カオスの全貌は甚だ分かり得ないのですが、カオスに委ねる意図は、スマホの操作のように、簡単です!
ただし、今や昔・・・まだガラ系携帯が主流の時代に、スマホの台頭に振り回せれていた感覚で「スマホのように簡単」なのかもしれませんが。
慣れてくると、カオスも不均衡も本質に違いはないようです。
最初は、この「不均衡」を思い切って活用したり、愉しんだり、少なくとも嫌煙しないことで、ユニークに可能性が広がるようです。
なにより、安定や理想と思しきところから離れている状態にツッコミを入れたり、不安や危惧に振り回される労力がいりません。
最近は、さまざまなパートナー関係や人生の履歴が受け入れられるようにシフトしてきました。個人差はあるでしょうが、概ね、人それぞれの関係性を容認できる意識が広がってきています。
パートナーの過去の人間関係が、今のふたりの関係によくない影響にならないかと心配されているUさん。
Uさん「実質的に戸籍上も、過去の関係は問題ないんです。ただ、過去の所有物や名義が昔のままで、このままにしておいて何か先々トラブルにならないか、気になっています」
過去の関係が長い場合には、いわゆるオトナ同士の問題は、すべてがスッキリと解消できるものではなかったりします。
所有物、財産、ときには子供たちや人間関係など、社会的な手続きで割り切れないものが、むしろ多いでしょう。感情や気持ちなども簡単に割り切れないのが、むしろナチュラル、自然なプロセスです。
単純に表面的な悩みとしては、後々の問題にならないか?というご相談に伺えます。
そこで、深く、かつ、俯瞰して、主訴を透視してみると、
一見、過去の関係を保留しているような不均衡な状態が、自然なものであると視てとれました。
けして断定的なことではなく、「….かもしれない」という可能性として、
現在のUさんとパートナーとの関係をうまく保ってくれているのは、一見不均衡な状態を連想させる「過去」が保留になっているから…のようでした。
しばしば、バランスよく思えた職場、学校、組織などにおいても、自然にしているといつの間にか「不均衡」が見えてきます。
また、敢えての戦略として、不均衡をポリシーとするビジネスモデルを仕掛ける経営方針があります。
「あれこれバランスがわるい」「うまくいってないんじゃないか」というときこそ、あんがい身近な「不均衡」の恩恵に気づいたり、活用するチャンスかもしれません。
また、ご自身の性質や習慣、体調やパフォーマンスにおいて、不均衡に悩まれたり諦めてさえいるなら、むしろそれらは知らぬ間に別の“何か”を働いてくれている可能性があります。
なお、不均衡におけるうまい具合を発見し始めると、いろいろな「まずい状態かも!」に於いてもバランス具合を見出していけるでしょう。