転機とは、ある状態から別の状態に変わるきっかけや変わり目です。自分自身を人生という視点から捉えたときに、「今は転機なのか」とか「転機はいつ来るのだろう」と考える人は少なくありません。
転機についての悩みは、傍から見ると、差し迫った深刻な問題には見えにくいため、周りの人にはその辛さやモヤモヤ感をなかなか理解してもらえません。説明しようと思ってもうまく言葉が見当たらず、どこか贅沢な悩みを抱えているような気にもなります。
しかし、ご当人にとってはすっきりせず、このままでいいのか、それとも何か転機を起こすようなことをすべきかと、先行きが見えない不安も湧いてきます。 昔からよく言われる「自分探し」や、「人生の目的・使命を探している」という状態です。
こうした転機は、個人的な心情だけでなく、年齢や、それに伴う社会的な立場の変化によって意識されることもよくあります。
学校の卒業や所属先での活動の終了、結婚や移住などの暮らしの節目、さらに中高年層になると定年退職などがあります。
身近な家族がそのような転機を迎えることで、一緒に生活している家族も、自分自身の転機を意識することがあるでしょう。
皆様もご自身の過去を振り返ったときに、そのようなモヤモヤとした、すっきりしない転機の悩みを抱えた時期があったのではないでしょうか。 このような転機のしんどさは、無事に通過すると、安堵とともに忘れやすいものです。
今年は予報よりも残暑が早く収まり、涼しくなるのが早いせいなのか、クライアントさん方からも、このような転機に関わるご相談が寄せられています。
世代や性別を問わず、「転機のタイミングが来ているが、その先をどこに向けたらよいのかわからない」「このままの状態でいいのか」「転機を迎えたいと思って、いろいろやってみるが、うまくいかない」「どのように、どこに向かって変えていけばいいのかわからない」「周りのほうが転機をうまく迎えていて、自分は遅れてしまっていないか」など。
現状では、特に困りごとや具体的な悩みがあるわけではなく、むしろ生活は安定している傾向が強いのです。ある意味、余裕や力を持っています。 そして、根本的に、人生を前向きにちゃんと生きていきたいという熱量や、真面目な魂を持っている方々に多いようです。
少し贅沢な悩みだと思う人もいらっしゃるかもしれませんが、例えば、いつも旅先が決まっていた方が、次はどこに行こうか、わからなくなってしまったような具合です。 どこにも行かなくてもいいのかもしれないし、行くべきところがあるのかもしれない。周りの人は次々とうまく旅に出ていて、バランスよく進んでいるように感じてしまいます。
ちなみに、このようなモヤモヤした状態は、決してネガティブで悪い状態ではなく、むしろ熟成期や、次に向かう準備をしているときでもあります。 また、過去に乗り越えてきたことや、長く積み上げてきたものを、ひととき立ち止まって確認するような安息期でもあるようです。
さて、人生に関わる転機には、「生き方の転機」と「生き様の転機」があるのではないかと感じさせられるケースがありました。
「生き方の転機」は、どのように生きていこうかという、行動や方針の選択に関わるものです。どう動くか、どんな目標を持つのかという、主体性や未来に向かう意識が強いものです。 一方、「生き様の転機」は、何をするかだけでなく、自分がどう在るか、その人自身の在り方に関わるものです。
例えば、男女を問わず、ある年齢になると周りが結婚をしたり、子供を持ち始めたりすることで、「早く結婚をしなければ」とか「子供を持ちたい」という焦りを抱くことがあります。その思いのなかには、ご自身の純粋な願いもあれば、同世代や周りの人々の影響を受けた、集合意識によるものも混在しています。
例えば、結婚や子供を持つことが、幸せや安定した暮らしの象徴であるという考え方です。家庭を持ち、子供を育てることが「人生をちゃんと生きている証」と見なされるような世代の価値観や、結婚しなければ生きることが難しかった時代の思想も含まれています。
そのような意識の影響を受けて、自分も同じ方向に進もうとしたとき、いろいろ努力してもうまくいかないのであれば、そこには、ご自身の生き方の転機について何か示唆するものがあるのかもしれません。
Aさんの場合、まさに結婚や子供を持つことに焦りを感じつつ、出会いにつながるサービスや紹介も積極的に利用してきました。でも、うまくいかなかったり、ご自身の本心とは違う思いが働いているような感覚もあるようです。
同じような悩みや転機を迎えていても、ケースバイケースです。
Aさんの個性と現実の状況を透視で拝見していくと、ご自身や周りがなんとなく抱いている「結婚や家庭を持つことが人生の転機になる」という既成概念や想定から、いったん外れてみることが鍵のようでした。そのほうが、Aさんは結婚に伴う生活へ自然につながりやすくなるようです。
極端にいえば、パートナーとの関係や結婚生活に対して、「今の自分を変えるつもりはない」くらいの図太さがあってもよいのでしょう。そのくらいの姿勢のほうが、無理やギャップを感じず、結婚を前提に相手と自分を縛ることもなく、次へ進めそうです。もちろん、相手と関われば自然にお互いが変わるもので、それに委ねれば十分という具合です。
「今の自分を変えるつもりはない」と構えると可能性が狭まりそうですが、相手はお一人いればよいわけでしょうから。 案外、周囲の友人や知人も、Aさんの芯のあるところをしっかり受け止めてくれています。
「実は、しばらく暇だったのかもしれません。やってみたいことは少し浮かんでいるので、そういうことに集中して、自分らしい自分で今を生きてみます。そういうときの出会いのほうが信じられる気がします」
50代で定職に就いている方の多くにとって、定年退職は、会社や所属先、社会が提示する転機と言えるかもしれません。 家計や子供さんの教育費など、お金の面から先の生活を考える必要がある方は、雇用継続を選ぶか、定年後につながる仕事や活動を見つけておくかなど、ある程度の制約のなかで転機の後について考えます。
一方、生活はほぼ安定しているけれど、定年のタイミングで何か新しく始めてみたい、という声もとても多いです。学生や20〜30代の方による起業と同様に、定年後に起業してみたいという、チャレンジ精神と転機の組み合わせも少なくないのです。
何かを始めること、起業することは、「生き方の転機」のように思えます。給与をもらう立場から、自分で事業を興すという働き方に切り替わります。 そういう方もいらっしゃる一方で、「生き様の転機」を迎えている方々もいらっしゃいます。
少しややこしいのですが、「生き様の転機」にある方は、定年など、社会的な節目に伴う「生き方の転機」と、ご自身が迎えている転機との違いに気づいておくとよいかもしれません。
そうしないと、周りの人が迎えている一般的な「生き方の転機」と、自分自身の在り方に関わる「生き様の転機」を混同しがちになります。 生き様は、その人が生きてきた姿そのもの、その佇まい、日々の在り方です。
Bさんは、あと数年で会社の定年を迎えるため、何か起業をしようか、どんなものが合っているのかというご相談にいらっしゃいました。ご自身としては、生き方の転機を問うものでした。
しかし、Bさんはこれまでの人生でも、ご自身の転機が、同世代の人たちが迎える年齢的な転機とは違うタイミングで訪れているようでした。 例えば、多くの人がこれから迎えるような人生の課題を、Bさんはすでに乗り越えておられました。
透視で拝見すると、Bさんにとって定年は、同世代の人たちと同じ意味での転機にはならないようでした。年齢や社会的な立場の変化に伴う、ご自身にとっての転機は、もう少し先にあるように見受けられました。 そして今回は、それとは別に、「生き様」の転機を迎えるタイミングのようです。
定年は一般に「会社勤めが終わる」と捉えられますが、Bさんにとっては、それ以上に、ご自分のこれまでの生き様があと数年で一区切りを迎えるというものでした。大雑把にいえば、責任や役割を果たし、周りの評価に応え、結果を示していくという、今までの生き様が、そろそろ終わりを迎えるということです。
これからは、周りの人に、ご自分のやっていることや成功を示して、「ちゃんとやっている人である」と証明する必要はないということです。つまり、自分の在り方や生き様そのものが、Bさん自身を表すものになるのかもしれません。自分がイイと感ずるもので紡いでいくイメージでした。
幸い、Bさんには長年続けてきた、ご自身の好きな活動がありました。その活動は、Bさんらしさをよりしっかりと体現することにつながっているようです。それに関連する活動や起業をしてもよいですし、新しい人との関わりのなかで、Bさんらしい何かが生まれてくるかもしれません。
武士気質でもない限り、自分の生き様は見えにくいですね。傍から見て、その人が何をしているかというより、どのような在り方を貫いているのかに、生き様は表れるようです。 Bさんの場合は、根っからの自由人としての気質や、それに沿った行動を優先していくことが、生き様の転機につながるでしょう。
なんとなく、「生き様の転機」のほうが年齢層が高いと思われるかもしれませんが、生まれながらにして、譲れない生き様を体現している子供たちも少なくありません! そして、シニアになって、やっと「生き方の転機」を整える、というケースもあります。
何かしら、転機についてご参考になれば幸いです。




















